執筆:Noreen Burke
Investing.com -- 今後1週間、投資家は小売売上高と小売企業の決算内容、そしてパウエル議長を含む連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言に注目し、今後の金利動向を見極めようとすることになるだろう。先週金曜日、株式市場は激しい下落の後、市場が底に近づいているとの期待から反発したが、暴落の余地はまだ残っている可能性がある。暗号資産の投資家も、価格の大暴落後の影響を注視している。一方、英国のインフレ動向については、4月に消費者物価が9%を超えて急上昇すると予想されている。週明けに知っておくべきことは以下の通りだ。
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米国の経済指標
今週の経済指標は、FRBによるインフレ抑制のための積極的な引き締めが、経済のハード・ランディング(景気減速)につながるかソフト・ランディング(景気減速を回避)で終わるかにつながるかを見極めようとする投資家にとって、注意深く吟味されることになるだろう。
火曜日に発表される4月の小売売上高は、堅調な自動車販売のおかげで堅固な伸びを示すと予想される。エコノミストは、インフレ率の上昇にもかかわらず、3月の0.7%増に続いて、先月も0.8%の上昇をみせると予測している。
そのほか、住宅着工件数と中古住宅販売の経済指標とともに、製造業の活動に関する地域データも発表される予定だ。住宅ローン金利の上昇により、住宅関連データは冷え込むと予想される。
火曜日にはFRBのパウエル議長が講演し、今後2回のFOMC会合でそれぞれ50bps(0.50%)の利上げを実施すると改めて表明するとみられている。
今週は他に、ニューヨーク連銀のWilliams総裁、セントルイス連銀の Bullard総裁、フィラデルフィア連銀のHarker総裁、シカゴ連銀のEvans総裁が講演を行う。
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小売企業の決算発表
経済データだけでなく、生活費の圧迫が消費者の購買力をどれだけ削いでいるかを示すために、今週中に発表される一連の小売企業の決算発表にも投資家の注目が集まる。
米国最大の小売業者 Walmart (NYSE:WMT)とホーム・センター大手のHome Depot (NYSE:HD)は、いずれも火曜日の市場取引開始前に2022年第1四半期の決算発表を行う。Target (NYSE:TGT)とLowe’s (NYSE:LOW)は水曜日の市場取引開始前、続いて木曜日にはMacy'sが決算発表を控える。
投資家は、インフレ率の高まり、賃金や燃料費の上昇、サプライ・チェーンの混乱が続く中、小売業者の今年下半期のガイダンスに特に注目している。
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市場ブーム?
インフレ率がピークに近づいているのではないかという期待感と、FRBによる積極的な金融引き締めによって景気が後退するのではないかという懸念が相まみえ、先週も不安定な市場環境となった。先週金曜日には上昇して引けた。
金曜日の反発にもかかわらず、S&P500とナスダックは6週続落となり、ダウは7週続落を記録した。
投資家は、株式の下落トレンドが終わらないかもしれないという懸念が燻る中、市場の底打ちの明確な兆候を探っている。
Nationwideの投資調査主任、Mark Hackett氏はロイターに対し、「短期的にはまだ脱したとは思えない」と述べた。「とはいえ、投資家の期待は劇的に回復している。」
市場調査会社All Star Chartsの投資ストラテジスト、Willie Delwiche氏は、底打ちの兆候を探すよりも、株価が持続的に上昇する可能性を示す明確な指標に注目しているとロイターに語った。
「足元、あまりにも多くの人が底値を探ろうとしているが、それは無駄で高くつくことが分かっている」と同氏は言う。「今はリスク・オフの環境だ。ボラティリティが高い局面では様子見姿勢をとることが、投資家にとって非常に重要だ。」
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暗号資産の暴落
米ドルとの1:1のペグが破れたステーブルコインであるTerraUSDの価値が先週崩壊し、不安定な1週間となった。今週の暗号資産の動向にも注意深い観察が必要だ。
ステーブルコインは、伝統的な資産、多くの場合米ドルの価値にペグされたトークンであり、暗号資産間でお金を移動したり、残高を不換紙幣に変換するための主な媒体である。
格付け機関Fitchは先週、多くの規制対象金融機関がここ数カ月でこのセクターへのエクスポージャーを増やしていることから、投資家がステーブルコインへの信頼を失えば、暗号資産とデジタル金融は「大きなマイナス影響」に直面する可能性があると述べた。
暗号資産は、インフレ率と金利の上昇に対する懸念の中で、リスク資産の広範な売り越しに巻き込まれているが、より広い金融市場では、今のところ暗号資産の暴落による打撃はほとんどみられていない。Fitchは、規制された金融市場とのつながりが弱いため、暗号資産市場のボラティリティがより広い金融不安を引き起こす可能性は限定的であると述べている。
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英国におけるインフレ率の上昇
英国は水曜日にインフレ・データを発表する。4月の消費者物価は前年比で9.1%となり、1980年以来最大の年率インフレ率の上昇、1982年以来最も急速なインフレ率の上昇になると予想されている。
イングランド銀行は、今月初めに政策金利を引き上げた際、第4四半期にインフレ率が10%を超えると予想していると述べた。
英国の雇用統計は1日前に労働市場の逼迫を強調し、賃金と物価上昇圧力に拍車をかけると予想される。
ユーロ圏では、火曜日に欧州中央銀行のラガルド総裁が講演し、木曜日にECBが最新の会合の議事録を公表する予定となっている。
--ロイターの報道を基に当記事を執筆