9月25日から26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、今週の10月17日に議事要旨を公表した。FOMCでは、米国経済は堅調であるが、労働力不足や通商問題が加速しており、経済の見通しに対し不明瞭であるとした。しかし、今回の議事要旨で確かなのは、年末までにあと1回、そして2019年に3回の漸進的な利上げに対しては肯定的であることだ。金融緩和でも引き締めでもなく、中立金利を模索している。
FOMCのメンバーの一部では、行き過ぎた経済によるインフレ圧力を抑えるために、中立金利よりも上げるべきだという考えもある。
トランプ米大統領は、繰り返しこの利上げの方針に対し「クレイジー」であり「私にとって(米国経済成長を脅かす)最大の脅威」と非難してる。
FOMC議事要旨によると、各連邦準備銀行総裁は各企業と意見を交わす中で、利上げに対し積極派と消極派がいるようだ。また、関税に関する懸念も指摘されている。
「企業は労働力不足や通商問題も含めて、生産や投資機会に対し消極的になるファクターを言及している」
「特に、アルミニウムと鉄鋼への関税は、エネルギー企業の投資を下げる要因になると言及されている。」
トランプ米大統領による「早まった引き締めは経済を鈍化させる」という訴えは、FOMCにとってのジレンマである。
過去にもトランプ米大統領は利上げ反対に関連するツイートをしていたが、望む結果をもたらすことはない。
FOMCメンバーにとっての他の懸念は、推定中立金利を定義することである。また、誤ったニュアンスを避けるために9月の議事要旨では「金融緩和」の文字はなかったようだ。確かなのは、0.25ポイントづつこの中立金利の水準に近づけるということだ。
また、上記でも述べたように、一部のメンバーは中立金利以上に上げる必要があると考えている。
「メンバーの数人は、利上げに慎重である必要があると考えているが、他の何人かは中長期的金利を上回る水準に一時的に引き上げる必要があるとしている」
ドットプロットによる金利予想の中央値は、2019年と2020年において3%以上になると示している。
FOMCは中立金利を定めるのに苦悩しているようだ。この議事要旨が指し示すよりも、今後の経済物価情勢や見通しによって政策を決めていくという。議事録では「中立金利を推定するのは、政策決定に用いるたくさんのファクターの中の一つにすぎない」としている。