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週間見通し:先週は米国株にとって3月以来最悪、イールドカーブはフラット化している

発行済 2018-12-10 16:24
更新済 2020-09-02 15:05
  • 貿易摩擦の懸念が再浮上、見解はまちまち 
  • 逆イールドが発生した
  • OPECは減産に合意し、2週間連続で原油は上昇した。

米国株は3月以来最悪の週を終えた。これは、貿易戦争への懸念、予想を下回る雇用統計、そして景気後退のサインであるイールドカーブのフラット化に起因している。また、 OPECが原油の減産に合意し、 原油価格は2週間連続の上昇となった。

テクノロジーセクター(-3.52%)を主因に、 S&P 500インデックスは金曜日に2.33%下落した。 公益事業セクター(+ 0.37%)が好調であったが、OPECの減産の合意に押されて エネルギーセクター(-0.56%)は下落した。週次ではS&Pは4.6%下落し、貿易戦争が始まった3月以来最悪の下落であった。 ジェローム・パウエルFRB議長がハト派に転じ、 金融セクター(-6.90%)が最も打撃を受けた。関税問題に敏感に反応し、インダストリアル・セレクト・セクターSPDRファンド(-6.22%)は下落して取引を終えた。テクニカル的には、S&P500は5月2日以来の最低水準である11月23日の終値の近くまで下落した。5月2日には50日移動平均線が200日移動平均線を下回ってデットクロスを形成した。現在の価格がこれらの水準を下回った場合、大きく下落するだろう。

ダウ・ジョーンズ工業平均指数は金曜日に2.24%安となり、週次では4.5%下落した。ダウ平均に上場している30の大企業はS&Pに上場している企業より比較的大きな打撃を受けており、貿易戦争の影響だけがこれらのインデックスの下落を招いていることを考えるとダウ平均は逆張りの指標となっている。またダウ平均は、11月23日の終値の水準より高く、いまだデットクロスを形成していないと考えるとテクニカル的には強い。

ナスダック総合は3.05%下落し、不振であった。テクニカル的にはデットクロスを形成していた。

ラッセル2000 日足チャート

ラッセル2000 日足チャート

ラッセル2000は金曜日に1.72%下落したが、インデックスの中では一番下落幅が小さかった。先週は5.56%急落しており、週次的に不調に転じている。テクニカル的には、ラッセル2000は先月にデットクロスを形成し、2017年9月21日以来で最低の終値を記録している。先週の下落によって、下降基調の三角持ち合いを完成させた。もし、木曜日のハンマー(上図:Hammer)のサポートを下回ってしまったら、最低7%の下落が見込まれる。

VIX日足チャート

VIX 日足チャート

VIXが上昇や先週の株価が下落しているが、ポジティブな見方もある。全体的に見ると10月以降VIXは低くなっている。市場は立て直しつつあるのだろうか。

米国2年国債と3年国債の日足チャート

2年債 3年債 利回り 日足チャート

3年債 の利回りが5年債の利回りを上回ったことにより逆イールドへの懸念が増加していることも重要な問題である。しかし、リスクを軽視しているわけではないが、そのような予測は時期尚早であろう。投資家たちはイールドカーブに注目するべきではあるが、より信頼性の高い指標は、10年債の利回りと比較したときの短期債の3ヶ月利回りである。これは政策金利の動向や長期的な予想をより反映しているからだ。このイールドカーブはフラット化しているが、いまだ逆転はしていない。

先月の米国の雇用者数は15万5千人増加した。この結果は予想されていた20万人を大きく下回ったが、 失業率は3.7%という49年ぶりの低さで安定しており、賃金の上昇につながっている。 前月比の平均時給は予想されていた0.3%を下回って0.2%の上昇であった。対前年比の賃金は予想通り、二か月連続で3.1%上昇した。肝心なのは、雇用減にもかかわらず賃金が安定して伸びている点である。

ドルインデックス 日足チャートドルインデックス 日足チャート

10年債の利回りは、8月以来の最低水準で終わった。それに伴って、ドルは下落し、10月以来初めて上昇チャネルの下限を割り込んだ。しかし、11月22日以降のレンジと50日移動平均線はまだ下抜けしてはいない。

WTI原油 日足チャート

WTI原油 週足チャート

先週はOPECの原油減産の合意で終わった。テクニカル的には、再び200日の移動平均線を上回った。

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