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今週のコモディティ市場の見通し: 米中間の貿易合意は原油、金にとって好材料となるかもしれない

発行済 2019-02-26 07:02
更新済 2020-09-02 15:05

米WTI原油は1バレル60ドル、ブレント原油は70ドルに達するまで引き続き価格が上昇する可能性が高い。多くの人はそうなると考えているようだ。原油相場の見通しを立てる上で難しいことは、同水準に達した後に相場がどうなるのかということである。

米中貿易協議が合意に達した場合、金相場がどのようになるのかもほとんど分からない金相場の今後の展開についても同じようなことが言える。マクロ的アナリストな分析者は、先週20日に11ヶ月間におけるの最高値である1オンス1350ドル近辺をマークした金先物は、米中が合意に達した場合大きく下落するとみている。しかし、現物取引を行うディーラーは、景気の回復上向きによって宝飾品の需要が高まると考えている。

原油価格のV字回復は継続するのか?

WTI Daily Chart

先週金曜日の原油取引が終わり、去年の年末から下落から、多くの人々はこのまま勢いよくV字回復するのか期待しているだろう。米WTI原油が51~53ドル、英ブレント原油61~63ドルのレンジを抜け、2週間続伸となっている。

原油価格が好調なパフォーマンスを見せている理由の一つとして、22日にトランプ大統領と劉鶴副首相との間で行われた会談の進展から、米中両国の貿易戦争は終結に近づいているという推測が強まっていることが挙げられる。

しかし、米中間の膠着状態が解決することで、原油やその他のコモディティは上昇・下落どちらにも振れる可能性がある。

米国側への譲歩として、まず中国側は米国産原油の大規模輸入を行う可能性が高い。

トランプ政権による中国製品に対する数千億ドル規模の関税が撤廃されれば、中国経済の成長への信頼感が再び回復し、あらゆる市場でリスクオンとなるだろう。一方で、中国政府は経済の回復を急務として景気対策の手段を用いるかもしれない。

OPECの減産効果が弱まる可能性

だが、他の全ての市場で最終的には高揚感が薄れるように、同等のデータが中国において公表されなければ、貿易協議合意による高揚感も薄れていく可能性がある。原油の場合は、特に原油への需要が上昇しなければ原油価格は最終的には勢いをなくすであろう。

米国産原油の生産量は日量1200万バレルと、世界最大でも上位の生産量となっており、2020年に到達するとされている1300万バレルにを今年中に到達する可能性がある。

米国が急速に増産を行っているため、サウジアラビア率いるOPECによる減産の効果は相殺される可能性が高い。世界的な枠組みの中では、米国産原油は中東の原油とは多少異なるものとされているが、一部のアナリストによると、国際的枠組みの中で問題となるのは合計の生産量だという。

米国の原油供給量は大きな影響を及ぼすだろうと、複数のアナリストが見解を示した。

ノースカロライナ州ダーラムに拠点を置くICAPのエネルギー先物ブローカー、スコット・シェルトン氏は22日、貿易合意は原油市場にとって「最後の不安材料最後の靴を落とす」となる可能性があると述べた。

同氏は、今年度の原油価格の25%高騰を背景に、複数のヘッジファンドは今後3から~6ヶ月間はマーケットニュートラルのポジションを取ると考えている。同氏は次のように述べた:

「問題はヘッジファンドが買いポジションを取るのかどうかということである」

「原油価格が100日移動平均線を上回り続けた場合、市場が平均線を試しにくることがあるだろう。その際に「買い」は発生するかもしれないが、私はマクロ市況全体的に懐疑的である」

同氏は続けて、「次の上昇相場を作りだすファクターは何なのだろうか」と述べた発言した。


コモディティ価格は本当に上昇するのか?

他のアナリストは、商品価格の実質性のない上昇は実際よりも大きいように見せられていたとの不安を抱いている。

他のアナリストはコモディティ市場が以前よりも強気相場になると絵空事を描いていた。

そのいい例がある。トランプ米大統領の支持者は、中国が1000万ブッシェルの米国産大豆を輸入するつもりだと聞いて週末にツイッターで喜んでいたのだが、データによると、中国は貿易戦争が始まる前は年間3600万ブッシェルもの大豆を輸入していたのだ。

サウスダコタ州知事のクリスティ・ノエム氏は22日、中国やEUによる大豆や小麦といった米国産品への報復関税は、同州の経済や農業活動に「ショックを与えているる」と発言した。:

同氏は続けて、「農産物の価格は不安定であるため農産物の価格が乱高下したことから農家にはリスク耐性があるものの、低価格が続いている持続しているため、多くの農家は廃業の危機に陥っている」と述べた。

貿易合意に達した場合、FRBはタカ派的な姿勢に変わるのか?

27日にはパウエルFRB議長が下院審議会にて半年に一度の議会証言を行うため、金の投資家にとっては重要な日となるだろう。世界経済が停滞局面へと変わりつつある中で、FRBの意向を確認できるチャンスである。

FOMC議事要旨が先週発表され、利上げの停止について全会一致で同意していたことが分かったが、世界経済停滞の可能性が低下したことから、この決定も変わる可能性がある。

Gold Weekly Chart

貴金属アナリストは、中国経済の回復によって宝飾品需要が高まる可能性を織り込んでいるが、米中間で合意がなされる可能性が高まっていることで、安全資産である金の価格を下支えする要因が弱まっている。

米中間の貿易合意の可能性が弱まることで、リスク回避資産である金は上昇するだろう。

強気な中国経済の成長予測によって、インフレ予想が高まるとともに世界のGDPの見通しが上方修正され、今までハト派姿勢を取ってきたFRBは再びタカ派的な見方に変わるだろう。

FRBのタカ派姿勢、株式市場や金にとっては悪材料となるかもしれない。

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