新型コロナウイルスの影響で、ゼネラル・エレクトリック (NYSE:GE)は値を下げている。同社の株価は年初来で約35%安となっている。
GEの再建における最大の課題は、ボーイング (NYSE:BA)やエアバス(OTC:EADSF)向けにジェットエンジンを製造する航空機部門である。航空機部門は以前、プラスのキャッシュフローを生み出していた。しかし、新型ウイルスの流行を受け、世界中で外出が制限され、航空会社は運航を停止した。その結果、GEは航空機部門の人員削減を行っている。
GEが新型ウイルスによる不況を乗り越えられるかについて、市場は疑問を呈している。
新型ウイルス流行以前、多くのアナリストは同社に対してポジティブな見方をしていた。GEのラリー・カルプCEOは、同社の再建に当たって、事業の再構築を進めていた。
2017年以来の株価の下落を受けて、同社は減配を実施した。また、負債を返済するために、運輸・石油部門を売却した。
さらなる痛み
第1四半期におけるGEの航空機部門の売上高は13%減、利益が39%減となった。
第2四半期では、さらに新型ウイルスの影響が直撃しているだろう。GEは業績が前四半期比で減少すると見ている。JPモルガンのStephen Tusa氏は、今年のGEのフリーキャッシュフローは、マイナスになる可能性が高いと述べた。
また、同社は退職金コストの上昇に直面している。ゴードン・ハスケットのアナリストのJohn Inch氏は、金利の低下が同社の年金制度に影響を与えており、約100億ドルの投資が必要になる可能性が高いと述べた。また、原油価格の下落により、石油大手ベイカー・ヒューズ (NYSE:BKR)に対するGEの36.8％の株式の価値はさらに低下している。
前向きな経営陣
しかし、このような状況下において、GEの経営陣は前向きな見方をしている。カルプCEOは、新型ウイルスによって、同社が試みてきたコスト削減や文化的な変革がさらに加速する可能性があると語った。
新型ウイルスを受けて、経営陣は現金を30億ドル以上保有すると共に、20億ドル以上のコスト削減を計画している。
今週、GEの航空機部門CEOのデビッド・ジョイス氏は退任し、後任はブラジルの航空会社大手エンブラエル(NYSE:ERJ)の商業航空部門でCEOを務めていたジョン・スラッテリー氏が就任すると発表した。
また、GEは債券市場にも積極的に参加しており、同社の財務部門は4月中旬以降、135億ドル以上の債券を売却している。また、GEはバイオファーマ事業の売却を通じて約200億ドルを調達した。
これらの施策により、同社は現金及び現金同等物を約470億ドル保有している。
総括
GEは昨年、業績が上向きつつあった。しかし、新型ウイルスによって状況は複雑化し、GEの先行きは不透明である。
GEはこの不況の乗り越えられる十分なキャッシュを有しており、倒産を回避できただけでも十分である。