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アメリカの消費の回復が垣間見えたJPモルガン決算【20年4-6月期】

発行済 2020-07-22 13:51
更新済 2023-07-09 19:32

JPモルガン・チェース (NYSE:JPM)の決算が発表されました。アナリストたちは今期は悲観的な利益予想をしていましたが、予想ほど落ち込まずにすみました。

私はJPモルガンの株を保有していませんが、そんな投資家でも今期のJPモルガンの決算はサラッとでも見る価値はあったと思います。

決算ではJPモルガンが発行しているデビットカード・クレジットカードの1-6月の利用金額が発表されましたが、4月5月はかなり低迷したもの回復を続け、6月は旅行・エンタメ以外の消費でかなり回復が進んでいる様子も見えてきました。

旅行・エンタメ以外の消費は回復しつつある
 

カードの消費の回復は、JPモルガンの株主だけでなく多くの投資家やアメリカ経済にとっても良い材料です。

この記事のポイント

  • 収益・利益とも事前予想ほど悪化しなかった。
  • トレーディング収入が好調で売上は前年比14%上昇したが、今後の貸倒れを予想して事前に損として計上する貸倒引当金を過去最高額で計上したため、利益は前年比で51%減少した。
  • JPモルガンは21年前半まで失業率が2桁を超える想定をして、財務諸表を強化している。大きな経済の低迷がない限り配当も継続可能と表明
  • カード利用金額を見る限り、4月から6月にかけて旅行・エンタメ以外の消費はかなり回復してきている様子が見える。また、低金利を背景に消費者は車や住宅購入に前向きになっている様子も垣間見えた。

2020年4-6月期結果

JPモルガン・チェースの決算は、利益も収益もアナリスト予想を超える結果となりました。この不景気の中でも収益は前年+14%、利益は予想ほど悪化せずにマイナス51%と発表されました。

  • 一株利益は1.38ドルで、事前予想の1.04ドルを上回る。(前年比-51%)
  • 収益:330億ドルで、事前予想の303億ドルを上回る。(前年比+14%)

利益は大幅に落ち込んだJPモルガン・チェース

景気低迷のなか収益を成長させたJPモルガン・チェース

今期の決算では売上は順調でしたが、貸倒引当金(貸し出した資金が返済されない金額を予測して前もって損として計上したもの)をかなり多めに計上したことが、利益の大幅な減少につながっています。

この貸倒引当金は事前の予想を超えて過去最高の105億ドルの規模にもなっています。

4月以降アメリカ経済の景気は回復を続けていますが、JPモルガンは回復がかなり遅れて21年前半まで失業率が10%を超える場合にも備えて、準備していると言います。

今後、経済に大きな低迷がないかぎりは配当も減らさずに継続できるとCEOが発言しています。

部門別売上

今期の部門ごとの成績もさらっと見ておきます。売上高は前年比+14%で好調でしたが、投資銀行部門が前年比+64%で大きく成長しています。

部門別売上

部門別売上(10億ドル) 2Q20 2Q19 増加率
個人向け銀行部門 12.3 13.1 -6%
投資銀行部門 16.4 9.9 +64%
法人向け銀行部門 2.4 2.2 +10%
富裕層向け資産運用部門 3.6 3.6 0%

投資銀行業務の業績が急成長

米個人消費は6月に順調に回復

今回のJPモルガンの決算発表で一番興味をもったのは、JPモルガンのデビットカード・クレジットカードの利用金額データです。

旅行・エンタメ以外の消費は回復しつつある

 

JPMカード利用金額データからわかること

  • カード利用金額全体は6月末には、前年をやや下回る程度にまで回復している。
  • カード利用を大きく牽引しているのは「小売(カード提示なし)」で、おそらくインターネット経由での消費が好調。
  • 一方で、旅行・エンタメ分野はまだ前年の半分程度までしか、消費は回復していない。他の分野に比べて回復はかなり遅い。

あくまでもアメリカの国民全体の消費傾向ではなく、JPモルガンに口座を持っている人の消費傾向にはなりますが、6月末にはかなり回復している様子が見られます。

また、車と住宅ローンの申込み状況も公表されましたが、こちらは低金利を背景に前年以上の力強い回復を見せています。

前年以上の需要が見られる車と住宅ローン

JPモルガンは「引き続き大きな不確実性に直面している」という認識を示している通り、アメリカでは新型コロナウイルスの再流行もあるため全く油断はできませんが、6月末はかなり良い回復の兆候を見せていたようです。

6月の消費回復はJPモルガンの株主だけはなく、多く投資家にとってプラスの材料になりそうです。

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