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Daily Commentary - 07月05日2013年

発行済 2013-07-05 17:31
更新済 2019-12-18 20:45
概観

昨日のイングランド銀行(BoE)と欧州中央銀行(ECB)の会合は、同様の結論となった。両行は、政策を据え置く一方、「将来の政策指針」を導入した。

将来の政策指針とは、金利が将来どのような経過を辿るかということに関して、市場に明らかな指針を提供することを意味する。中央銀行は通常、短期資金に対する金利を上げ下げすることによって経済をコントロールする。しかし、最近多くの経済圏で行われているとおり、短期金利がゼロを記録するなか、金利をこれ以上引き下げることはできない。

その上、短期金利が経済全体に浸透するには課題がある。第一に、当局は、投資家が資金を借り入れ、株式や債券、その他のリスク資産を購入することを望むとみられるが、投資家は、金融政策が突然変更された場合に、損失を被ることを常に懸念するものである。投資家は、短期資金を借り入れ、その後金利が上昇すれば、その借入を返済するために保有株式を売却しなければならなくなるかもしれない。もし、皆が一斉に株式を売却しようとすれば、価格は暴落し、彼らは資金を失うことになる。第二に、たとえ中央銀行が短期金利をゼロまで引き下げても、多くの金融商品は長期金利に基づいて値付けされており、それらは中央銀行が望む水準以上に高い水準にとどまる可能性がある。特に不動産金利は、長期金利に関係しており、住宅は、景気にとって重要である。

将来の政策指針は、中央銀行がこれらの課題を乗り越えられるようにするものである。中央銀行が金利を一定期間低いまま据え置くことを市場に対して明らかにすることにより、当局は、投資家が、短期金利が突然上昇し、彼らに投資対象の損切りを迫るような事態を心配することなく、短期資金を借り入れることができ、それらを株式、債券、不動産、その他流動性の低い投資対象に投資することができるということを、ほぼ保証することになる。2つ目の課題に関しては、長期金利は、単にロールオーバーされた短期金利の連続に過ぎない。これは、中央銀行が、短期金利を向こう2年間ゼロで据え置くと約束すれば、2年金利がゼロまで低下することをも意味する。したがって、将来の政策指針は、中央銀行が、イールドカーブにまで影響を及ぼし、それによって、景気にも影響を及ぼすことを後押しするものである。

両中央銀行とも、ハト派的な声明を発表した。BoEは、会合の後、「委員会の見解では、国内経済における最近の動向を見る限り、バンク・レートに対して予想される将来の行く末における上昇期待は、正当化されなかった」という異例の声明を発表した(通常は、政策が据え置かれた場合、声明を発表することはない)。言い換えれば、投資家が考えているほど短期金利が早く上昇することはないということを、市場に宣言したことになる。ECBに関しては、ドラギ総裁が記者会見において、政府審議会は、利下げの可能性に関する広範な議論を行い、リファイナンス金利と預金金利(現在はゼロ金利)はいずれもさらに低下する可能性があり、金利は「現在の水準あるいはさらに低い水準に、長期間据え置かれることになるだろう」と述べた。また後に、長期間とは1年超であることを暗示した。これは、「決して前もってコミットすることはない」と言っていた中央銀行にとっては大きな変化である。

結果として、GBPもEURも弱含み、GBPはEURよりもさらに弱含んだ。両中央銀行が、金融緩和策の新たな段階に入って間もないなか、FRBは緩和策から脱却し始めている。このことから、GBPもEURも、ファンダメンタル要因により、対USDでさらに低下する可能性が高い。

本日、市場は、米国の6月の非農業部門雇用者数に注目するとみられる。コンセンサス予想は、16万5千人と、5月の17万5千人に対して増加幅の縮小を予想しているが、昨日のADPレポートが予想よりも好調だったことを受け、いつくかの予想は上方修正される可能性もある。昨年のデータに対する市場の反応を見る限り、EUR/USDは、NFPが予想を上回った場合よりも、予想を下回った場合の方が、より大幅に下落する傾向があり、一般的に考えられる方向性とは全く逆である。実際、EUR/USDは、予想を上回る結果に対して、最初の2日間で上昇する傾向がある。こうした反応は、市場が「リスクオン=USD売り」の状況にある際に発生する可能性がある。このため、これまでの市場は、現在予想される市場の反応とは逆であった可能性がある。過去のパフォーマンスは、今日のパフォーマンスの指針とはならないかもしれない。

マーケット

EUR/USD

EUR/USDは、午前中の大半において、1.3005でレジスタンスを見出し、BoEの金融政策声明の発表が予想外となったことを受け、10pip上昇した。その後、ドラギ総裁の声明と記者会見の後、EURは130pip下落し、これによってEURは対USDで暴落した。

• 待望の非農業部門雇用者数が本日発表されるが、同雇用者数は、FRBが量的緩和の縮小をどの程度間近でスタートするかということを示す可能性がある。下落からの短命な反発により、1.2920でレジスタンスを見出し、トレンドライン・レジスタンスは、本日、1.2920に見られる。1.2800を下回る終値は、肩幅において対称的な形状を呈するヘッド・アンド・ショルダー・フォーメーションを完成させ、EUR/USDの急激な低下を示唆するだろう。重要なサポート水準は1.2855までに現れ、この水準を突破すれば、1.2800への下方突破を引き起こす可能性があり、リバーサル水準は1.2750で見出され、重要なフィボナッチ・サポートが1.2680で見出されるだろう。米国の雇用統計が期待外れの結果となれば、重要なレジスタンスは、1.3000に現れ、試された1.3030水準には、この日の右肩下がりのトレンドライン・レジスタンスが見られるだろう。

EUR/GBP

EUR/GBPの上昇に見られるとおり、GBPが、昨日、最大の下落通貨であったことは疑いの余地はなく、水曜日に非常に好調な英国のサービス業PMIを受けて実現したGBPの上昇は反転した。ECBが、BoEのハト派的な政策声明を発表した直後、自らの声明を発表し、リトレースメントを招いたため、0.8590の重要なレジスタンスの突破は短命に終わった。

• 過去2ヵ月間に生じたらせん状の動きにより、強力なレジスタンスを0.8590で見出し、その後、注目すべきレジスタンスが0.8660と0.8715に現れた。トレンドライン・サポートは0.8940に現れる。

USD/JPY

USD/JPYは、4時間チャートにおいて見られるとおり、引き続き反発は衰えることなく、トレンドライン・サポートを試し、パラボリックSARが上昇トレンドを再び示唆している。BoEとECBによる緩和政策を受けて、FTSE 100が3%、DAXが2%超の上昇を示すなど、欧州では株価が力強く上昇したことが、リスクオン環境を招き、これにより、本日アジア株も急上昇し、JPYも下落している。

• 現在の100.40のレジスタンスからの突破により、試されたレジスタンスを100.80で見出し、次のレジスタンスを101.35と101.65で見出すだろう。サポートは100に現れ、弱いサポートは99.7に、また、より試されたサポートは、50日移動平均が見られる99.15~99.35領域に現れるだろう。



• BoEとECBのハト派的な声明の発表を受けて現れた5ドルの狭い取引レンジによって示されているとおり、金は、ほとんどGBPとEURの大量売却に影響されることはなかった。これらの声明に加え、米国、ユーロ圏、英国において全般的に見られる景気の改善、量的緩和の縮小期待によって生じた米国債利回りの上昇が提供した株価に対するサポートは、金の上昇にとっては重要な背景とはならない。ましてやユーロ圏と米国でインフレ圧力が和らいでいるため、なおさらのことである。

• 米国の雇用統計が、量的緩和の縮小が差し迫っていることを示す重要な証拠になるのではないかとの憶測により、金は、オーバーナイトで1244ドルを突破し、1242ドル~1244ドル領域にあるサポートを試し、1234ドルに弱いサポートが、より十分に試されたサポートが1224ドルに見られる。レジスタンスは、1256ドル~1259ドルの領域に現れる可能性は高い。次のレジスタンスは1269ドル前後に現れるだろう。

原油

• 原油は、静かな一日となった。ブレントが昨日の朝以来変わらずに推移し、WTIは0.25%下落した。サポートは、100.69で多数回試され、オーバーナイトで反発したものの、101.45の弱いレジスタンスを突破することはできなかった。

• しかし、米国の好調な増加雇用者数が、101.45ドルからの突破と102ドルのレジスタンスの突破に対する触媒となる可能性があり、重要な水準は、102.95ドル、103.80ドルに見られる。100.65ドルを下回るサポートは、100ドルに現れ、その後99.15ドルに現れるだろう。

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