間もなく2016年が終わり、2017年が始まることになる。来年の注目のポイントはアメリカのトランプ新大統領などいろいろあるが、特にトルコの動向には注目しておいた方がいいと思われる。
その理由はいくつかある。まずはトルコがIS(イスラム国)が暴れているシリアに近いという点。そのために最近ではトルコ国内でテロが頻発しており、先週末にはロシア大使が銃殺されたばかりだった。
トルコはシリアに近いことから、難民も数多く国内に留まっている。そして今年春にはEUと難民に関する協定を結んだため、それ以降トルコからEUに向かう難民の数は激減。欧州の難民問題は一旦落ち着いた。
しかしトルコは最近政府に反発する勢力に対する弾圧を強めており、それがEUの反発を受けている。そのためにトルコのEUへの正式加盟の話も進まず、トルコ政府はイラ立ち難民協定の破棄も辞さない構えを見せている。
また経済的にはリラの下落問題もある。今年になって為替市場で米ドル高が進行するとともに、特に新興国通貨の米ドルに対する下落が目立っている。トルコリラも例外ではなく、最近では1米ドル=3.53リラまで下落。2005年のデノミ以来の最安値を更新し続けている。
トルコリラの下落はトルコ経済を不安定にし、将来的には通貨危機のリスクも高める。ともかくトルコはいろいろな意味で、来年以降のカギを握る国となるだろう。