アメリカでトランプ政権が成立して1ヶ月が経った。その強引な政策やトランプ大統領の強烈な個性のため、今までのどの政権よりも世界に大きな影響を与えた就任後の1ヶ月だったのではないか。
そしてトランプ大統領の影響は、今後アメリカの中央銀行であるFRBにも及んでくる可能性がある。最近になってFRB理事の1人であるタルーロ氏が、4月に辞任すると申し出た。これはトランプ大統領が進める金融規制緩和政策に反発したためと見られている。
FRBの理事は7人が定員だが、タルーロ理事が辞任する前から2人が欠員の状態で、5人しかいなかった。そしてタルーロ理事の辞任でさらに欠員が増え、現在は残っている理事は4人となる。
FRBの理事を指名する権限は大統領にあるので、欠員3人の補充にはトランプ大統領が自分にとって都合のいい人物を選ぶ可能性が高い。年8回開催されるFOMCは、理事7人と地区連銀総裁5人の、計12人で議決される。その中の3人が今後トランプ大統領に指名された人物になると、その影響は少なくない。
7人の理事の中にはイエレン議長も含まれるのだが、トランプ大統領は就任前から「イエレン議長は自分が大統領になったらクビにする」と発言していた。このように大統領はイエレン議長の金融政策が気に入っておらず、今後はあの手この手でイエレン議長を追い出し、自分の息のかかった人物を議長にしようとするかもしれない。
どちらにしても、最低3人の理事は今後トランプ大統領が指名した者となる。そうなるとFRBもトランプ色が強まり、アメリカの金融政策が変わって行くことが考えられる。