日銀は2013年4月に異次元緩和政策を開始。そして開始以来もう4年以上が経った。最初はETFの購入額は年間1兆円としていたが、それを2014年秋に3兆円に増額。2016年には株価が低迷していたため、さらに増やして年間6兆円にした。
これほどの規模で中央銀行がETFを買い続けたことは、日本の戦後金融史上ない。しかし本来の目的である物価上昇率2%の達成にはほど遠く、30日に発表された5月の物価上昇率は前年同月比+0.4%だった。
そして今問題となっているのは、日銀があまりに巨額のETFを長期間買い続けてきたために、多くの上場企業で日銀が実質的大株主になってしまっている点だ。例えば最近発表された推計によると、現在日銀が5%以上の株式を事実上保有している上場企業は、83社にもなるという。また日経225平均の採用銘柄の約90%、200社で上位10位以内の大株主にもなっているという。
これはかなりの異常事態だ。そして今のような年間6兆円のETF購入を続けていけば、今後日銀の上場企業の株式保有率はますます増える。
そもそも日本には「5%ルール」というものがあるはずだった。これは独占禁止法で定められているもので、金融機関は他企業の株を5%以上保有してはいけないというものだ。だから普通の銀行が他企業の株を保有していても、保有比率は4.9%など5%を超えない数字になっている。
しかし今の日銀は事実上5%を超える株式を保有している企業が83社もある。独占禁止法で5%ルールを定めていながら、日銀が日本企業の独占的株主になりつつあるのだ。