低迷する原油価格を底上げするために、昨年11月末に産油国がOPEC総会で減産に合意し、今年1月から実行された。今のところ各国とも減産は順守している。しかし問題は、それでも原油価格の底上げ効果には限界が見えてきている点にある。
1月以来つい最近までは、原油価格は52~54ドルの狭いレンジで推移していた。だが今週になって、米原油在庫が前週比820万バレル増と激増したことや、シェールオイルの増産観測などから原油は急落。10日には一時48ドル台をつけ、OPEC総会直前の水準まで後退してしまった。
原油価格は昨年の今頃は26ドル付近まで下がり、ここ10年ほどの最安値となった。それに比べれば52ドルは倍の水準であり、減産の効果はあったと見ることもできる。しかし産油国がこの水準で満足していたとは考えにくい。
原油は2010~14年の前半まで、常に80~110ドルと高値にあった。この間産油国は潤っていたため、産油国側としてはここまでではないにしても、70~90ドルに戻ることを期待していたに違いない。だがその達成は極めて難しい状況にある。
結局のところ、現在ではシェールオイルという原油の競合品が出てきており、原油だけ価格が上昇するのは難しい。原油が高くなれば、代替品としてのシェールオイルを買う企業・国が増えてくるためだ。
もっと減産をすればさらに価格を上げることができるかもしれないが、追加減産で産油国が合意することは難しい。現在の日量100万バレル程度の減産でも、合意まで相当な時間がかかった。産油国にとって取れる手段はもうあまり残っていない。