[ロンドン 26日 ロイター] - 12月の英総選挙でジョンソン首相率いる与党・保守党が単独過半数を獲得し地滑り的勝利を収めて以来、国内の企業や消費者の間では経済への楽観的見方が急速に強まり、イングランド銀行(中銀)が今週の会合で利下げする必要性が薄れた。
保守党の勝利を受けて、英国は1月31日に欧州連合(EU)を離脱し、移行期間に入る見通しとなった。移行期間中はEUと従来通りの経済関係が続くが、年末には終了する。
経済への信頼感の回復が成長率押し上げにつながるかどうかはまだ不明だが、エコノミストは今年に入ってから発表された一連の好調な経済指標を好感している。
中銀の12月の金融政策委員会では、労働市場に弱さが見られるなか、2人の委員が利下げを主張。他の委員の間でも、カーニー総裁を含む3人の委員は最近、一段の刺激策が必要になるかもしれないとの認識を示唆した。
だた、年初以来発表された経済指標で、予想を下回ったのは12月の小売売上高のみとなった模様。
30日の会合を前に金融政委員会のメンバーが精査するとみられる2020年初頭に発表された経済指標は以下の通り。
<1月PMIは急上昇>
IHSマークイット/CIPSが発表した1月の英国の購買担当者景気指数(PMI)は、製造業とサービス業を合わせた総合PMIが過去1年あまりで最高水準を記録した。
サービス部門PMIは景況拡大と悪化の節目である50を昨年8月以来初めて上回った。製造業PMIは50を下回ったものの、前月から改善。総合PMIはユーロ圏のPMIを2018年12月以来初めて上回った。
英産業連盟(CBI)公表の調査でも製造業楽観指数は急上昇した。
<CFOの楽観度増す>
大手会計事務所デロイトが公表した最高財務責任者(CFO)を対象とする調査によると、CFOの53%は自社の先行きについて3カ月前と比べて楽観的見通しを示した。同割合は2008年の統計開始以降で最高を記録した。調査は総選挙後に行われた。
<消費者信頼感も上昇>
バークレイカードがロンジテュード・リサーチ社に委託した調査によると、総選挙後に英経済の将来に自信を示した消費者は全体の41%と11月時点から10%ポイント上昇し、2017年3月以降の最高となった。
ただ、消費者信頼感が経済に与える影響の大きさについては懐疑的な見方がある。
欧州委員会のデータによると、EU加盟国の中で英国の消費者信頼感は相対的に低く推移してきたが、消費支出は一貫して経済成長のけん引役となってきた。
<雇用押し上げ効果も>
英求人雇用連盟(REC)の調査によると、人材紹介会社を通じた英企業の正社員採用数が12月に1年ぶりに増加した。調査は12月5─17日の期間に実施と、12日の総選挙をまたいだ。
RECのニール・カーベリー代表は「新政権が発足し、今後の道筋が予測しやすくなったため、一部の企業は既に十分待ったと判断した」と指摘した。