[ワシントン 28日 ロイター] - 米商務省が28日発表した2019年12月の耐久財受注統計は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.9%減と、19年4月以来の大幅な落ち込みとなった。市場予想は横ばいだった。出荷も減少し、設備投資が第4・四半期に一段と落ち込み、国内総生産(GDP)の重しとなった可能性を示唆する。
11月のコア資本財受注は当初発表の0.2%増から0.1%増に下方改定された。19年全体では0.8%増だった。
GDPの設備投資の算出に用いられるコア資本財の出荷は12月に前月比0.4%減少した。11月は0.3%減だった。
設備投資は米経済の中で軟調な分野だ。同じく不振だった住宅部門は、米連邦準備理事会(FRB)が昨年3回利下げしたことを受け、勢いを取り戻している。FRBはこの日から2日間の会合を開く。前回同様、金利を少なくとも今年末まで据え置く方針を示すとみられる。FRBは設備投資の弱含みによる製造業の低迷を注視してきた。18カ月間続く中国との貿易摩擦をはじめとする他国との通商問題のほか、世界経済の先行き不透明感を理由として挙げている。
中国との貿易摩擦が景況感に打撃となる中、機器のほか、ガスや石油の立坑・油井を含む住宅以外のインフラへの投資が軟調で、設備投資は2四半期連続で落ち込んでいる。第4・四半期もGDPを押し下げる方向に働くとみられる。軟調な設備投資に伴い、米経済の約11%を占める製造業は低迷。アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第4・四半期のGDP伸び率見通しは年率1.8%増。第3・四半期GDPは2.1%増だった。第4・四半期GDPは30日に発表される。
米中が今月、第1段階の合意に署名したことで貿易摩擦は和らいだものの、米航空機大手ボーイング (N:BA)の問題が引き続き製造業の重しだ。ボーイングは今月、2件の墜落事故を受けて昨年3月に運航停止となった旅客機「737MAX」の生産を停止した。生産停止は20年超ぶりの大きな規模で、供給網に損害が及ぶ見込みだ。ボーイングの最大の供給業者であるスピリット・エアロシステムズ (N:SPR)は今月初め、米カンザス州ウィチタの拠点で20%超の人員削減を実施すると発表した。
エコノミストは737MAXの生産停止が20年第1・四半期のGDPを最低0.5%ポイント押し下げるとみている。航空会社は737MAXの発注を続けているが納品が止まっているため製造業者の在庫が積み上がっており、第1・四半期は在庫投資が抑制要因となる。
全体の耐久財受注は前月比2.4%増と、11月の3.1%減から持ち直した。耐久財はトースターから航空機まで3年以上使われるモノを指す。12月は輸送機器が7.6%増と、18年8月以来の大幅な伸びとなり、全体の耐久財受注を押し上げた。
輸送機器は11月に8.3%減少していた。12月は国防航空機が168.3%増加し、74.7%減少した民間航空機を相殺した。ボーイングのウェブサイトによると、12月の航空機受注は3機と、11月の63機から減少した。12月は通常、航空機受注が好調な月だ。
自動車・同部品は12月に0.9%減少した。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「最終製品の製造に必要な原材料に対する関税が引き続き課されているため、製造業は明らかに勢いを失っている」と述べた。
ウェルス・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「設備投資は今後数四半期は低調に推移する見込み」とした。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200128T195816+0000