[ワシントン 5日 ロイター] - 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが5日発表した7月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数の伸びが16万7000人と、前月の431万4000人から急鈍化した。市場予想の150万人も大幅に割り込み、景気回復が早くも息切れしている兆候を示した。
従業員50─499人規模の企業の雇用は2万5000人減少した。
ムーディーズ・アナリティックスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「新型コロナワクチンが完成するまで労働市場のさらなる回復は見込めないことが、今回の統計からうかがえる」と指摘。急減速の理由としては、政府の中小企業支援制度(給与保障プログラム、PPP)の失効やコロナ感染の急増が挙げられるとした。
オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、オーレン・クラフキン氏は、「新型コロナのワクチンや治療法が手に入らない限り、経済は再び下降するリスクを抱えたままだろう」と述べた。
コロナ感染は、特に人口密度の高い南部や西部の地域で爆発的に増加しており、当該地域では営業の再停止や経済再開の一時中止を余儀なくされている。
カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州は全米の雇用の3分の1を占める。第2・四半期の米実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比32.9%減と、過去最大の落ち込みを記録した。
ロイター調査によると、7日に発表される7月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が160万人、民間部門の雇用者数が約148万人、それぞれ増加すると予想されている。失業率は10.5%に改善する見通し。
JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「ADPの雇用報告は、経済が力強く伸びた後、ここ数週間で勢いを失っているというわれわれの見方を裏付けている」と述べた。
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