[東京 14日 ロイター] - 内閣府が14日に発表した11月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比1.5%増の8548億円となった。プラスは2カ月連続で、前月比6.2%減とのロイター事前調査の予測に反して増加した。内閣府は、機械受注の判断を前月の「下げ止まっている」から、「持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。
10月の受注額が前月比2桁増と強めだったことから、事前予想では11月は反動減となるとみられていた。だが、製造業は前月比2.4%減と、2カ月連続で増加した後の割に小幅な減少にとどまった。非製造業は同5.6%増、3カ月連続の増加となっている。
発表されている10―12月見通しは前期比1.9%減と、6四半期連続のマイナスとなっているが「10、11月と好調な動きであり、見通しより上振れる可能性が高くなった。そのため、判断も修正されたと言えるだろう」(大和証券チーフマーケットエコノミスト・岩下真理氏)と明るい見通しも出ている。農林中金総合研究所の試算では、12月分が前月比38.4%減でも10―12月は前期比プラスとなる。6四半期ぶりの増加となるためのハードルはそれほど高くないようだ。
このほか、11月の外需は同5.9%増、前月の2桁増に続き、堅調な動きとなっており、米中経済の回復傾向が寄与しているとみられる。
政府の需要喚起策や海外経済の持ち直しの動きによって、委縮していた設備投資マインドが緩んできたようにみえる。
しかし、農中総合研究所の南武志・主席研究員は「こうした動きは一時的だろう」とみている。昨年11月以降の新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されるほか、新年に入ってからは緊急事態宣言が再発出され、海外では感染拡大や変異種の確認により都市封鎖なども行われている。輸出の持ち直しにも影響が出てくるとみられるほか、サービス消費が再び悪化する可能性が高い。南氏は「1―3月期にはコア機械受注は弱含みに転じるものと思われる」と指摘している。
機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。設備投資の先行指標として注目されている。
*内閣府の発表資料は以下のURLでご覧になれます。https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/menu_juchu.html [https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/menu_juchu.html]
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(中川泉 編集:内田慎一、青山敦子)