[オタワ 19日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のウィルキンス上級副総裁は19日、世界経済の減速と米中貿易摩擦から生じ得る嵐を乗り切る上で、カナダの金融システムは比較的良い状況にあると述べた。
ウィルキンス副総裁は、国内または世界規模でのリセッション(景気後退)を想定していないが、世界経済は大きな課題に直面しており、カナダに波及する可能性があると改めて指摘。ただ「万一嵐が起きた場合でも、カナダの金融システムには耐性があり、何が起きようとも対処可能な良い状況にある」と述べた。
一方、貿易摩擦が悪化しなかったとしても、貿易摩擦に伴う経済生産の損失額は2021年までで約1兆ドルに上る可能性があるとした。
カナダ銀行(中央銀行)は10月30日、政策金利を予想通り1.75%に据え置いた。ただポロズ総裁は今回の会合で世界的な通商問題からカナダ経済を守るために「リスクに対する保険としての」利下げを検討したことを明らかにした。
ウィルキンス副総裁は、金利は相対的に低水準だが、まだ動かす余地はあるとした上で、フォワードガイダンスや大規模資産購入など他の政策も利用可能と述べた。
TDエコノミクスのシニアエコノミスト、ブライアン・デュプラット氏は、ウィルキンス副総裁は世界的な経済成長に関する課題と金融安定性を巡る懸念に言及しており、中銀のハト派から中立的な姿勢の継続を示していると述べた。
ウィルキンス副総裁は国内の家計債務の安定化や住宅市場の抑制、銀行システムの強化などは価値のある取り組みだが、慎重姿勢を解くべきではないと語った。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191119T213734+0000