7日、激化する米中貿易戦争への懸念から、安全資産の円は上昇する一方、人民元は下落している。
中国人民銀行は7日、中間レートを前日の終値ほど低くは設定しなかった。しかし結果としてオフショア市場、オンショア市場共に人民元安が続いている。
1日にドナルド・トランプ米大統領が中国からの輸入品に追加関税を課す方針を明らかにして以降、米中間の緊張は高まりを見せている。
この措置に対し中国は5日、元を7ドル台にまで下げることで応えた。トランプ氏はこれに対し中国を為替操作国として認定することで反撃している。
米中貿易戦争は激化の一途を辿っており、現状両国が和解に至る道筋は未だ見えない。
トランプ氏は6日、米国の農家が2020年までに中国からの圧力を受けた場合は彼らを支援する用意があると述べ、中国との長期戦も辞さない構えを見せた。
午後6時35分時点で、ドル円は0.23%安で106.22円をつけている。6日には、ドル円は105.51円から107.07円の間を乱高下しており、中国の通貨政策への懸念が高いボラティリティをもたらしていることが伺える。
オフショア市場の人民元は1ドル7.0701元にまで下落し、2010年に管理変動相場制に移行して以来の最安値である7.1397元に迫る勢いを見せている。
またオンショア市場は6日7.0250元で終値を迎え、7日の始値は7.0369元となっていた。
JPモルガンの佐々木融市場調査本部長は今回の件について、「米中貿易摩擦は市場心理を悪化させており、結果として米国債の利回りは低下し、円は上昇するだろう」とした上で、「我々は年末までにドルが7.35元にまで上昇すると予想しているが、そのような事態は米国政府にとっては望ましいものではないだろう。また、私は年末までにドルが104-103円にまで下落すると予想している」と述べた。
ドルインデックスは小動きとなっており、97.493。
ニュージーランド準備銀行が予想を超える50bpの利下げを行い、政策金利を史上最低の1.00%に設定し、世界経済に各国金融政策担当者が抱えている不安が浮き彫りとなり、市場心理は更に悪化した。
NZD/USDは1.32%安の0.6437となっている。
一方で、ユーロは僅かに対ドルで下落し、0.12%安で1.1185となっている。
ユーロ圏では、7日発表されたドイツ鉱工業生産(6月)が前年比1.5%減となり、予想よりも0.5%大きい減少であった。
これはユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツが第2四半期、低調となっていることを意味しており、その影響はユーロ圏全体に波及する恐れがあるだろう。