(ブルームバーグ):
●日本株が連日の急落、米感染拡大や円高嫌気-指数は週間で9%超下落
東京株式相場は大幅安となり5日続落。日経平均株価とTOPIXは週間で9%を超える下落となった。新型ウイルスの感染拡大が世界経済に与えるダメージへの警戒感が広がり、日経平均株価とTOPIXの下落率は一時4%を超えた。米国株安や為替の円高推移などを受けて企業業績に対する懸念が強まり、電機や情報・通信などを中心に、東証1部の銘柄の98%が下げ全面安となった。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、新型ウイルス感染で国内の工場操業が停止し、中小企業が資金繰りに厳しくなり経営が行き詰まれば、銀行に飛び火するという連想ゲームが働きかねない状況と指摘。「投資家は最悪のケースを織り込み、強いリスク回避に傾いている」と話した。
- 東証33業種では電機、情報・通信、サービス、証券・商品先物、不動産、化学の下げが目立つ
債券相場は大幅上昇。新型コロナアウイルスの世界的な感染拡大を懸念して米国の長期金利が連日の過去最低更新となったことに加え、日本株が大幅続落となり、リスク回避の買いが強まった。2年国債入札の順調な結果も相場を支えた。
みずほ証券の松崎涼祐マーケットアナリスト
- コロナウイルスが広がり、海外のリスクオフの流れが国内の債券先物や超長期スワップの動きにも表れている
- 中期債は2年入札前に買いが手控えられていた面もあり、強めの結果を受けて買い安心感が広がった可能性
- 日銀の付利引き下げを織り込む動きが出てきているのかもしれない。金利反発のきっかけがつかめないまま長期化する可能性はみておく必要
- 最低落札価格は100円68銭5厘、市場の予想中央値100円67銭を上回る
- 応札倍率は4.59倍、前回4.49倍
- テール(最低と平均落札価格の差)はゼロ、前回1厘
●ドル・円大幅続落、新型ウイルス感染拡大でリスク回避ー109円割れ
東京外国為替市場のドル・円相場は大幅続落。連日の米株安に追随してアジア株も大きく下げるなど新型コロナウイルス感染の拡大が中国以外でも本格化するとの懸念を受けたリスク回避の動きが鮮明となった。円は主要10通貨に対して全面高。
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジスト
- 新型コロナウイルスへの懸念を背景としたリスクオフが加速する中、感染拡大を巡る報道もさることながら、株安それ自体がドル・円の下げ圧力となっている
- 米大統領選の民主党公認指名争いにおけるサンダース候補の優勢や東京ディズニーリゾートの臨時休園が伝わる中、ドル・円は109円付近にあったストップロスを巻き込みながら下落
- 米株安や米10年金利の低下、VIXの急上昇などを踏まえると「陰の極」が近いのではないか。米大統領選のスーパーチューズデーや主要な米経済指標が相次ぐ来週前半がリスクオフのピークか
- ドル・円は新型コロナウイルスの感染拡大懸念を受けたリスクオフの円買いが優勢。リスクオフは円買いということが改めて確認された
- ただ、2月の安値や200日移動平均線が近い108円30銭まででは下げ止まるとみている
- 豪ドルは中国経済との関係性の強さや同国内での新型ウイルス感染拡大の懸念が重し
記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:東京 堤紀子 ntsutsumi@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:丸田不可志 fmaruta@bloomberg.net
©2020 Bloomberg L.P.