〇北朝鮮問題を中心に問題の攻防軸を探る〇
朝方から、米ロックフェラー家当主のデービッド・ロックフェラー氏の訃報が伝えられた。
101歳だった。
トランプ政権誕生に、キッシンジャー氏を通して、隠然とした力を発揮したと見ていただけに、トランプ政権が不安定化するかどうか、ユダヤ社会に何らかの亀裂が生じないか、密かな注目点となろう。
週末から連休に掛けての動きは、目立った成果は得られなかった。
仏財務相の言葉を借りれば、「G20、満足の行く結論に達せず」。
米独首脳会談も目立たなかった。
市場の密かな注目点として、世耕経産相訪米で、「WHの破産処理に合意、東芝メモリー新会社出資にアップルの名前が出るか」があったが、結論は得られなかったようだ。
また、ティラーソン米国務長官の習近平主席との会談で、4月上旬の首脳会談開催で合意」も実現していない。
市場は問題点を認識→具体的な進展に注目する。
迷走することを嫌うので、その観点からは、強気のカードを切れない状況が続こう。
最も印象に残ったのは、ティラーソン米国務長官の日韓での発言。
過去20年間の対北朝鮮政策は失敗とし、「戦略的忍耐の政策は終わった」と北朝鮮に最後通告を行ったと受け止められる。
北朝鮮はミサイルエンジンの燃焼試験を発表し、弾道ミサイル発射の可能性を改めて示唆し、威嚇姿勢を変えていない。
中国は最終同意までしなかったようだが、改めて緊迫感が高まった。
この観点だけで見ると、日本政府の慌ただしい動きがつながる。
2+2(外相と防衛相)でロシアと協議し、萩生田官房副長官が訪中し、安倍首相は間隙を縫うように欧州を訪問した。
対北朝鮮政策での合意、あるいは自衛隊が動くことへの了解などを取り付けに行ったと見ると符合する。
節目になりそうな日程は、4月15日北朝鮮の太陽節(金日成誕生日)、4月末米韓合同軍事演習終了、5月9日予定の韓国大統領選、6月25日朝鮮戦争開始67周年など。
自衛隊が5月末で南スーダンから撤収することが急遽決まったことを考慮すると、6月が攻防の軸になるとの見立ても有り得る。
既に、米特殊部隊が韓国での演習に参加、SWIFT(国際銀行間通信協会)は北朝鮮全銀行との接続を遮断、中国やマレーシアなども交流を絶ったと思われる。
この他、当初3月20日期限とされたギリシャ支援協議は、4月7日までに包括合意が得られる(ギリシャ財務相の発言)との見方に替わり、英国は29日にEU離脱通告を行うことになった。
4月上旬にEU首脳会議が開催できるのか、中下旬に先送りされるのか、はたまた5月の仏大統領選後に先伸ばしとなるのか、欧州情勢も焦点となろう。
なお、投機筋はポンド、円売りを仕掛けたようだが、円売りは早くも買戻し展開に、この間、メキシコ・ペソ売りが大幅に圧縮、メキシコ株はトランプ前の48500ポイント台を回復、高値更新を窺う。
先進国相場が動けず、新興国の一角が買われる展開となる可能性がある。
なお、米OMB(行政管理予算局)は財政均衡計画を盛った予算案を5月中旬に発表予定。
大規模インフラ投資策は「夏か初秋」頃に発表する準備が整うとの見解を示した。
トランプ政策が予算ベースで実現するのは秋以降との見立てからすると、若干早まる公算が出ている。
経済的な手応えを測る局面となろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/3/21号)
朝方から、米ロックフェラー家当主のデービッド・ロックフェラー氏の訃報が伝えられた。
101歳だった。
トランプ政権誕生に、キッシンジャー氏を通して、隠然とした力を発揮したと見ていただけに、トランプ政権が不安定化するかどうか、ユダヤ社会に何らかの亀裂が生じないか、密かな注目点となろう。
週末から連休に掛けての動きは、目立った成果は得られなかった。
仏財務相の言葉を借りれば、「G20、満足の行く結論に達せず」。
米独首脳会談も目立たなかった。
市場の密かな注目点として、世耕経産相訪米で、「WHの破産処理に合意、東芝メモリー新会社出資にアップルの名前が出るか」があったが、結論は得られなかったようだ。
また、ティラーソン米国務長官の習近平主席との会談で、4月上旬の首脳会談開催で合意」も実現していない。
市場は問題点を認識→具体的な進展に注目する。
迷走することを嫌うので、その観点からは、強気のカードを切れない状況が続こう。
最も印象に残ったのは、ティラーソン米国務長官の日韓での発言。
過去20年間の対北朝鮮政策は失敗とし、「戦略的忍耐の政策は終わった」と北朝鮮に最後通告を行ったと受け止められる。
北朝鮮はミサイルエンジンの燃焼試験を発表し、弾道ミサイル発射の可能性を改めて示唆し、威嚇姿勢を変えていない。
中国は最終同意までしなかったようだが、改めて緊迫感が高まった。
この観点だけで見ると、日本政府の慌ただしい動きがつながる。
2+2(外相と防衛相)でロシアと協議し、萩生田官房副長官が訪中し、安倍首相は間隙を縫うように欧州を訪問した。
対北朝鮮政策での合意、あるいは自衛隊が動くことへの了解などを取り付けに行ったと見ると符合する。
節目になりそうな日程は、4月15日北朝鮮の太陽節(金日成誕生日)、4月末米韓合同軍事演習終了、5月9日予定の韓国大統領選、6月25日朝鮮戦争開始67周年など。
自衛隊が5月末で南スーダンから撤収することが急遽決まったことを考慮すると、6月が攻防の軸になるとの見立ても有り得る。
既に、米特殊部隊が韓国での演習に参加、SWIFT(国際銀行間通信協会)は北朝鮮全銀行との接続を遮断、中国やマレーシアなども交流を絶ったと思われる。
この他、当初3月20日期限とされたギリシャ支援協議は、4月7日までに包括合意が得られる(ギリシャ財務相の発言)との見方に替わり、英国は29日にEU離脱通告を行うことになった。
4月上旬にEU首脳会議が開催できるのか、中下旬に先送りされるのか、はたまた5月の仏大統領選後に先伸ばしとなるのか、欧州情勢も焦点となろう。
なお、投機筋はポンド、円売りを仕掛けたようだが、円売りは早くも買戻し展開に、この間、メキシコ・ペソ売りが大幅に圧縮、メキシコ株はトランプ前の48500ポイント台を回復、高値更新を窺う。
先進国相場が動けず、新興国の一角が買われる展開となる可能性がある。
なお、米OMB(行政管理予算局)は財政均衡計画を盛った予算案を5月中旬に発表予定。
大規模インフラ投資策は「夏か初秋」頃に発表する準備が整うとの見解を示した。
トランプ政策が予算ベースで実現するのは秋以降との見立てからすると、若干早まる公算が出ている。
経済的な手応えを測る局面となろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/3/21号)