エネルギーファンドの危惧、OPEC総会の決定による米シェール業者への影響

 | 2018年12月07日 21:11

シェールオイルの出現によって世界中に安価な原油が提供されることとなった。しかし2年前の原油価格の暴落時に、数多くの米シェール生産者が倒産したことを覚えている人は数少ない。

ヘッジファンドは当然、景気が悪い時にシェールオイル株のカラ売りを仕掛け、収益を上げることができる。そのため、多くのエネルギーファンドが市場の低迷期にも絶えず収益をあげ続け、エネルギーファンド業界は存続し続けるように思われるかもしれないが、必ずしもそんなことはない。今年度ファンドらはどのように収益をあげてきたのだろうか?

「状況はあまりよくない」という表現が、シェールオイルに頼っている多くのファンド業界にぴったりの表現だろう。「ひどい」というのは特に運用実績を表すのに適切であろう。これらの表現にあてはまる2つのファンドとして、運用成績が今年10月に7%下落した英国に本拠を置くのウェストベック・エネルギー・オポチュニティ・ファンドと、今年度65%下落したニューヨークのイクイノックス・エネルギー・ファンドが挙げられる。このデータは同ファンドが投資家に非公開で共有したデータをinvesting.comが入手したものである。

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再び過剰供給にさらされ、原油価格がどんなに安価であってもシェールオイル生産会社が存続できるという考えを持つOPECにとって、上記ファンドの運用データは木曜日のOPEC総会において重要な議題となる。

h2 シェールオイル生産への懸念は誇張されすぎか/h2

元ゴールドマンサックスのファンドマネージャーと、リーマンブラザーズの原油トレーダーであるジェーンルイス・リー・ミー氏が率いるウェストベックファンドは、10月に投資家に向けて30ページ近くにもなる文書の中で「シェールオイルの急激な生産増加による懸念は誇張され過ぎである」述べていた。

このファンドの指摘の背景には、主要なシェールオイル採掘業者が今年の過剰供給により原油価格が急落しているため減産せざるを得ないかもしれないと言ったことがある。また、シェールオイルの主要地域バッケン油田において、15年前に水平ボーリングや水圧破砕の開発を援助したコンチネンタル・リソーシーズ社の最高責任者であるハロルド・ハン氏は、ザ・ウォール・ストリート・ジャーナルの最近のインタビューで、企業は原油が1バレル40ドル以下であっても経営できるであろう、だが「私たちは、限界費用で売るためにいるのではない」と語っていた。

ウェストベックのポートフォリオには、パレックス・リソーシーズ、プレミア・オイル、テュロー・オイル、グラン・ティエラ・エナジー、エイカ―BP、エンクエストなどの国際的石油探査会社が含まれている。

h2 各原油間の価格差に苦しめられる/h2