週間見通し:リスクオンの動きによって株式市場は回復するか?

 | 2019年01月07日 20:02

  • 強い雇用統計、ハト派に傾いたFRB、米中通商会議は株式市場を上昇させた
  • リスクオンにより、米国債利回りは下落し、ドルも下落
  • ドルの下落により、原油と金価格は上昇
  • アップル(NASDAQ:AAPL)が、中国市場での低迷をうけて売上高見通しを下方修正したことを要因に、木曜日の米国株式市場は急落した。しかし、12月に3週連続で下落していた米国株式市場は、金曜日の取引で反発した。これは10年間で最大級の上昇幅であった。

    今回の株式上昇の要因としては、12月の米非農業部門雇用者数が好調であったこと、FRBが利上げ回数減を示唆したこと、米中通商協議が順調に進んでいることが考えられる。リスクオン相場によって、米国債はドルの下押し圧力となった。それに伴って、金と円は下落した。

    h2 株式市場を上昇させる短期的要因と長期的要因/h2

    米非農業部門雇用者数は前月比31万2千人増であり、堅調な米国経済を示したので、金曜日の株式市場は上昇した。今回発表された雇用統計は予想を約90%上回っていた。一方、米失業率は3.7%から3.9%に上昇した。失業率の上昇はネガティブに考えられる可能性があるが、非農業部門雇用者数は好調だったので、ポジティブな見方が強い。

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    しかし、最も好調だった指標は平均時給である。同指標は前年同月比3.2%増であり、10月に記録した2009年以来の最大の上げ幅に並んだ。消費者支出は米GDPの66%を占めており、経済成長のカギである。

    12月の雇用統計が株価に短期的な影響を与える一方で、FRBの発言は長期的な影響を与える。市場の混乱を避けるために、ジェローム・パウエルFRB議長は利上げペースの鈍化を示唆した。パウエル議長は、中央銀行は金融政策の正常化のために「忍耐強く」対応し、利上げやバランスシートの正常化において既定路線はないと述べた。

    パウエル議長は、株式市場に対して独特の見解を示しており、米国は堅調であると述べた。また、株価は未だ顕在化されていない下振れリスクを織り込んでいるとの見解を示した。パウエル議長は現在の株価の上昇に自信を示しながらも、最近の株価の下落に対し軽視している。これまでのパウエル議長は、金融引き締めや米国経済の状況に伴う市場のボラティリティに与しないとの姿勢を示してきたが、市場を「注意深く観察する」と述べている。

    雇用統計の結果やパウエル議長の発言に続き、先週金曜日の第3の株価上昇要因としては、米中間での次官級の通商協議が開始される予定であることが挙げられる。一方、金曜日の中国人民銀行は、中国の景気減退や米国の関税の影響を考慮して、今年度5度目となる預金準備率の引き下げを実施した。