カナダ銀行の政策金利発表でUSD/CAD相場は変動する

 | 2019年01月09日 20:00

全ての主要通貨の中でカナダドル2019年最初の数日間で最もパフォーマンスが良かった(カナダドル高)。1月2日~8日の間でUSD/CADは2.5%安となり、過去2ヶ月間の上昇の3分の1を打ち消した。堅調な労働市場や米ドル安、不確実性の高まり、原油価格の回復といったこれらの要因がUSD/CADを急落させることとなったが、明日のカナダ銀行による金融政策発表の後に下落はストップする可能性がある。エコノミストは利上げを行うという見方をしていないが、直近のカナダドルのパフォーマンスによると、多くの投資家は労働市場は力強く、カナダ経済を下支えしているということをカナダ銀行に認識してもらいたいはずだ。

しかし、12月の経済指標の結果によってカナダ銀行は楽観的な見通しを変更し、カナダドルの上昇がストップするかもしれない。10月に利上げを行った後、カナダ銀行は中立水準まで利上げを行う必要があると発言し、さらなる引き締めを模索していた。だが、原油価格が20%以上下落したことや株式市場の急落したことで、成長が減速する可能性があるとして、楽観的な見方から悲観的な見方へと変えたのであった。カナダ銀行は、エネルギーセクターが以前と比較して著しく不振に陥っている可能性があるとの見方をしており、これによって利上げを行わないということもありうる。原油価格は反発し、株式市場は3日続伸となっているものの、前回の金融政策会合が行われた12月5日と比べると、現在の全ての市場指標は低い水準となっている。

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問題は労働市場以外の経済活動が不調であることだ。11月、12月の堅調な雇用統計とは裏腹に、消費支出の伸びはかなり減速しているのである。インフレ率は緩やかな基調にあり、前回の利上げによって住宅市場の活動にも減速感が見られる。製造、貿易活動に関しては、米国からの関税や通貨安、原油安によってダメージを受けている。そのため、カナダ銀行は前回の12月の会合よりも悲観的な見方をしていないものの、株式市場や原油市場が急落した場合には、楽観的な見方を変えざるを得ない。

政策金利決定とは別に、カナダ銀行は金融政策レポートや直近の経済予測を発表するだろう。その後、カナダ銀行のポロズ総裁やウィルキンス上級副総裁による記者会見が行われると思われる。カナダ銀行が自身の見通しを明確にする機会であり、USD/CAD相場が大きく動く可能性がある。カナダ銀行がカナダ西部の改善ニーズや、政策金利を2.5%~3.5%の中立金利への引き戻しによる経済全体への影響を強調すれば、USD/CADは下落から一転し1.34へと反発する可能性がある。しかし、カナダ銀行が直近の経済の安定感から、利上げを行うのに十分であると判断した場合、USD/CADは1.3180まで下落する可能性がある。