米LyftのIPO、同社の成長率が評価され高バリュエーションとなるか?

 | 2019年03月08日 19:05

2月下旬にサンフランシスコのライドシェアサービス企業、リフト(Lyft)はIPO(新規株式公開)に向けて3月上旬にロードショーを行うことを発表し、現在上場に向け準備が進んでいる。

未公開ユニコーン企業の1社である同社のIPOは、投資家の間で大きく期待されている。その他には、ウーバー(Uber)、エアービーアンドビー(Airbnb)、スラック(Slack)が今年度のIPOが期待されている。

米政府機関の一部閉鎖によるIPOの延期を経て、この中でリフトが最初にIPOを控えている。IPOの日程はまだ公表されていないが、早ければ3月下旬、もしくは数週間のうちに行われるとみられる。同社のティッカーシンボルは「LYFT」になる可能性が高いだろう。

先週1日にS-1ファイル(IPO前に公表しなければならない財務資料)が公表された。IPOや今後のバリュエーションに関わるファンダメンタルズは下記の通りである。

h2 リフトのバリュエーション:推定200~250億/h2
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注意: IPOを行う企業への投資は、通常の長く上場している株式への投資と比較してリスクが高い。新規公開株はボラティリティが高くなる傾向があり、ヒストリカルデータが少ないことから株価の動向を推測することが難しい。

また、同社はS-1ファイルを公開しているが、同社に関する未公開情報が多く存在するだろう。四半期決算が発表されるまで多くの疑問はぬぐえない。

しかし、同社を取り巻くファンダメンタル良好であると言えるだろう。リフトは、ドライバーと配車を求める消費者をマッチングさせるプラットフォームアプリ「Lyft」を運営している。リフトの売上高に占める手数料は現在うなぎ登りとなっている。

同社のバリュエーションレンジは200~250億ドルと考えられる。IPO時までは正確な数字は分からないが、我々は220億ドル近辺になると推定している。

h2 売上高と純利益:売上高は好調だが、赤字/h2

S-1ファイルからリフトの過去3年間の財務状態を測ることができる。同社の売上高は堅調に増加しているようだ。

2016年の売上高が3億4300万ドルであったのに対して、翌年の17年には10億5000万ドル、18年には倍の21億5000万ドルへと増加した。過去2年間で500%増となっている。

しかし、他のVCから資金調達しているベンチャーと同様に、純利益は順調ではないようだ。2016、17年に同社はそれぞれ6億8200万ドル、6億8800万ドルの損失を計上している。18年の損失は9億1100万ドルとさらに大きい。これは同社のプラットフォームの開発費用に加え、マーケティング、R&D、営業費用の負担が重いためであると考えられる。

ポジティブな側面としては、対売上高の損失比率が減少していることが挙げられる。2016年は売上高の2倍の損失であったのに対して、2018年売上高の42%にまで縮小した。しかし、我々は同社の黒字化には時間を要すると考えている。

米国市場では、損益よりも成長率を重視している。そのため、同社の目覚ましい売上高成長を今後も持続させることができれば、収益にかかわらず評価される可能性が高い。

h2 指標によって評価は異なる:成長率は堅調/h2

成長率に関して、米国市場ではユーザー数の伸びを最も重視する。テスラ (Tesla) (NASDAQ:TSLA)といった黒字化できていない企業でも、成長率という観点だけで評価されている。また、投資家はそのような成長企業の売上高や純利益もほとんど気にしていないようだ。

リフトに関しても投資家はアクティブライダーに注目するため、上記企業と同様に評価されるだろう。アクティブライダーとは、1四半期で少なくとも1回以上サービスを利用したユーザーのことである。