ECBの政策金利で注目すべきはLTROのタイミングである:投資家の反応は鋭い

 | 2019年03月11日 16:08

先週の欧州中央銀行(ECB)理事会に対する投資家の反応から、投資家がどれほど敏感になっているかが窺える。ECBが2020年まで利上げを延期し、長期資金供給オペレーション(LTRO)を再開させることについて本当に驚くべき唯一のことは、そのタイミングである。

欧州のエコノミストは数ヶ月に渡って着実に経済の見通しを引き下げている。ECB理事会のちょうど前日、経済協力開発機構(OECD)はユーロ圏の経済成長率の予想を1.8%から1%へ下方修正した。新たな予想では、ECBが9月に利上げを再開する可能性はさらに引き下げられた。加えて、ECBはこれまで9月以前に利上げすることはないと述べてきている。

1月、ECBのマリオ・ドラギ総裁は、リスクはなお下方に傾いており、ECBはインフレターゲットを達成するために「あらゆる手段を調整する準備が出来ている」と述べた。貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)は銀行に対して流動性を提供するための手段として実施されるとアナリストは考えている。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

つまり、ECBが経済成長率の予想を1.7%から1.1%へ引き下げたのは、一般的な予想に近づいただけなのである。唯一のサプライズは予想インフレ率が1.6%から引き下げられて1.2%と予想されていることである。これはECBの目標である2%を大きく下回っている。

つまり、ECBはアナリストの予想よりも早く引き金を引き、後のアクションのための根拠を準備する時間を作ったと考えられる。