今週の注目ポイント:まちまちなシグナルの中、株式は過去最高値を記録する可能性

 | 2019年04月15日 09:00

  • IMFが貿易戦争を受け経済成長見通しを切り下げるも、G-20財政担当責任者は下半期の成長は加速すると予想

  • 中央銀行によるハト派の動きにより株価は更に押し上げられる可能性

  • 米ドル、米国債、金は下落

  • IMFは先週半ばに2019年に世界経済成長率見通しを3.5%から3.3%に切り下げたものの、12日にG-20財政担当責任者らは金融緩和の影響により下半期の成長率は高まっていく見通しを発表した。しかし、IMFは米国に端を発する貿易戦争により、2008年の金融危機以来最低のペースでの経済成長を予測している。依然として大部分の米国株は先週末高値で終値を迎えたが、週次ベースでみるとまちまちであった。

    先週は全体的にポジティブなニュースが続いた。まず、英国のEU離脱期限が10月31日へと延期された。加えて中国の輸出と銀行貸出が回復した。また、12日に発表されたJPモルガン・チェース (NYSE:JPM) とウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)の第1四半期決算が予想を上回る好調ぶりで、これから決算発表を行う企業に対しても期待が高まっている。

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    まちまちなシグナルで市場は混沌

    関税引き上げによるネガティブ材料と、中央銀行によるハト派な動きというポジティブ材料が合わさり、見通しがはっきりせず株価は横ばいであった。投資家は、この複雑なシグナルが生み出す迷路を通り抜けようとしている。正直に言って、このファンダメンタルを解き明かすのは専門家にとっても困難だ。テクニカルも同様に、複雑になってきている。

    S&P 500は12日、0.66%高となった。ここ6か月で初めて2,900台に到達し、先週はその水準以上を維持している。先週下落したのはヘルスケアセクターのみだった。

    しかし政治だけではなく、市場原理も製薬業界に影響を及ぼしている。

    アマゾン(NASDAQ:AMZN)が次に大きな革命を起こす市場としてヘルスケア業界を挙げているからだ。自社が持つオンラインマーケットプレイスを活用して市場構造をシンプルにし、薬品の価格を下げることを計画している。かねてより薬価引き下げを謳ってきたトランプ米大統領はアマゾンCEOジェフ・ベゾス氏に敵意を向けている。両者の関係性がどう変わっていくのかは見物である。

    JPモルガンとウェルズ・ファーゴの好調ぶりを受け、金融セクターが他10セクターの高値(1.84%高)を牽引した。両行が12日の寄り付き前に決算を発表したことから、 金融セクターは様々な市場で始値から大きく予想を上回った。

    また、エンターテイメント界の巨人ディズニー(NYSE:DIS)は、11月にサービス開始が予定されている動画配信サービス「Disney+」についてのアナウンスを行い、過去最高の株価を記録した。ニュース配信後、株価は11.54%高となった。対照的に、競合のネットフリックス(NASDAQ:NFLX)の株価は前週比4%以上の下落となった。

    SPXは3週連続で上昇したものの0.51%高に留まった。ヘルスケアは2.38%安とやはり不調で、エネルギー も0.07%安であった。 原油価格の上昇と、シェブロン (NYSE:CVX)株価がアナダルコ・ペトロリアム(NYSE:APC)の買収合意後に下がったことなどが背景にある。

    先週のベストパフォーマーは金融セクター (2.03%高) であった。