エレン ワルド | 2019年04月26日 17:21
※この記事は2019年4月25日に投稿されたものです。
22日の午前、米国務長官のマイク・ポンペオ氏は、8カ国においてイラン産原油の輸入を許可する特別措置(Significant Reduction Exemptions、SRE)を終了すると発表した。これにより、5月1日以降イラン産原油を購入する国は米国による2次的制裁を受けることになる。
21日にこの決定が間もなくなされると報じられ、原油先物価格は上昇した。22日の終値ではブレント先物は2.8%高の74.04ドル、WTI先物は2.7%高の65.70ドルとなった。市場はトランプ政権が全ての特例措置を終わらせるとは予想していなかった。トランプ大統領の原油やガソリン価格を低く抑えたいという意向を踏まえると、特例措置全てを終了させることは考えにくい動きであった。
米政府はイランから現在日量100万バレルの原油が輸出されているとし、輸入国に対しイラン産原油の購入を止めるよう非常に強い圧力をかけていた。 しかし、非政府の貨物追跡サービスによると、米政府の見立てよりも遥かに多くのイラン産原油が市場に出回っているとされている。3月のデータは、イランが日量170万 (米国務省 は以下のように述べている。
「原油市場は供給量が潤沢で、原油在庫の水準は現在高い状態にある」一方で、米政府は「サウジアラビアやUAEを含む産油国から、イラン産原油輸出の削減に対応するための増産の約束を取り付けた」
しかしサウジのハリド・ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、さしあたって原油増産を行う必要性を感じていないと述べた。同氏は、イラン産原油への制裁強化によりサウジ産原油への需要は上がると見ているが、先んじて増産に踏み切ることはしないと述べている。OPECプラスが下半期に増産を行うかどうかについては、6月のウィーンでの会合で話し合われる。
米国が考えるサウジアラビア・UAEの原油生産量と、サウジアラビアが実際に予定している生産量には明らかな断絶が存在する。サウジアラビアとUAEが市場から消えるイラン産原油を補填できる生産能力があることは明らかだが、需要に対しての生産しか行わず、イラン原油の穴を埋めようという考えがないことは明白である。
h2 短期的・長期的見通しはそれぞれどうなるか?/h2原油市場には様々なシナリオが予想されている。イラン産原油の輸出減少に伴って、価格は上昇すると見られている。しかし問題はその変動幅である。米国がサウジへどれほど圧力をかけ、サウジが米国の圧力に対しどれほど抵抗するかによるだろう。ロシアは今年の夏にも増産に踏み切る意向を示唆している。OPECプラスによる6月のウィーンでの会合では、協調減産が打ち切られる可能性も考えられる。その場合、産油国はできるだけ多くの原油を生産しようとするインセンティブが働き、原油価格は下落するだろう。一方、OPECは原油生産の割当量をわずかに増やすことで合意に至るかもしれない。その場合、原油価格は大きく値動きしないだろう。
もちろん米国の産油量も重要な要因である。WTI原油の産油量が上昇を続け、新たなパイプラインが計画通り稼働すれば、イラン産原油補うことができるだろう。米国の産油量はここ数か月で記録的な水準にまで達しており、今後どれだけ上昇するかは誰も分からない。
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