SlackのIPOプレビュー:優良企業であるが評価額はいまだ不明

 | 2019年05月09日 18:48

テクノロジー企業群の新規上場(IPO)の流れが止まらない。

Lyft(NASDAQ:LYFT)やUberを含む多数のIPOに対し、我々は比較的懐疑的だった。

Slackは他のIPO企業群を出し抜き、単なるユニコーン企業ではなく、投資するに値するIPOになるのだろうか?

Slackは直接上場(ダイレクトリスティング)を計画しているが、取引開始日はまだ明らかにされていない。

しかし、過去のIPOを考慮して、我々はSKというティッカーで5月末に取引が開始されると踏んでいる。

IPOが行われる際の評価額はまだ不明だが、S-1申請書からヒントを読み解くことができる。

Slackは、チームや組織内のコミュニケーションを促進するメッセージアプリとして自身を位置付けている。

本来、Slackは2013年、創立者が過去に有していたソフトウェア企業における内部ツールとしてひっそりと誕生したものだ。

しかし、Slackが市場にフィットすることが明らかになってからは、同社の主要製品として評価されるようになった。

Slackのビジネスモデルは、サブスクリプション料金によって支えられている。有償版の使用料は1か月あたり6ドルから15ドルだが、ニーズを拾って長期顧客を獲得している。

Slackは限られた機能での無償版も提供している。

無償版において有償版の便利な機能を試せるため、トライアル終了後に有償版に切り替えるユーザーも少なくない。

Slackの適応性や導入の簡便さは企業のニーズを確実に拾っており、競合他社から頭一つ抜ける要因になっている。

h2 売上と収益/h2

S-1申請書で注目すべきことは、同社の収益性は高くないということだ。

過去3年間で、同社はそれぞれ1億4千万ドル、1億8千万ドル、1億4600万ドルの損失を計上してきた。

ただし、IPOにおいては収益よりも売上高を重視する場合が多い。

その点、同社の売上高は順調である。2016-2017年では1億500万ドルから2億2千万ドルへと110%成長、さらに2017-1018年では4億ドルへと82%の成長を遂げた。

ただし、2016年には1億500万ドルの売上に対し1億4600万ドルの損失を計上していた。

2018年、Slackは4億ドルの売上に対し1億4千万ドルの損失を計上したが、2年前に比較すると成長の兆しが窺える。

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Slackを導入している団体数は60万を超え、1千万人を超えるユーザーを獲得している。

しかし、51万2千人という大部分のユーザーが無償版を使っているのが現状だ。

すなわち、わずか8万8千の有料契約がSlackの収益を支えていることになる。