バラーニ クリシュナン | 2019年12月18日 18:17
FRBの金利据え置きやブレグジットの進展、米中貿易の第一段階合意などをよそに、金先物は上昇している。
現在の金相場を読み解くのは難しい。
先月の金価格は1500ドル台を下回ったものの、先週は堅調に推移した。
先週、金は3つの悪材料をよそに値を上げて取引された。
1つ目は、11日のFOMCで金利据え置きが決定したことである。これまで、7月から10月にかけて、FOMCは3度の金利引き下げを決定してきた。利下げは金にとって好材料であると考えられている。
2つ目は、13日の英下院総選挙において、与党・保守党が歴史的な大勝となったことである。不確実性の高いブレグジットは過去3年間に渡って、金価格を下支えしていた。
3つ目は、15日に米中貿易協議が第1段階の合意に達したことである。今回の合意を受け、米国は約1600億ドル分の中国製品に対する15%の追加関税を見送った。FOMCやブレグジット以上に、米中貿易問題は金にとって好材料となっていた。
これら3つの悪材料に対して、金は値を上げて取引されている。
9日の終値は、1オンス当たり1465ドルとなった。10日には、1481.85ドルまで値を上げた。
週次では1%高となる16ドルの上昇を見せた。これだけの悪材料がある中で、金は力強く上昇している。
金価格の上昇は、2019年末最後の祭りのようなものなのだろうか。
一部の楽観的なアナリストは約3か月前、年末までに金が1600ドルを記録すると予想していた。
年末までに金が1600ドルに達するという予想は、もはや現実的ではない。しかし、1500ドルまで上昇する可能性は依然として考えられる。
アナリストのJames Hyerczyk氏は17日、金先物が1500ドルをテストするためには、1497.7ドルの抵抗ラインを超える必要があると記した。
他方、TD証券は、金相場が値を上げている要因として、FRBが2020年に利下げを行う可能性を挙げている。
TD証券は以下のように述べた。
「景気が下向く場合、FRBは利下げを行うことが予想されるので、金価格は堅調に推移している」
「したがって、2020年にかけて金が上昇することが予想される」
また、ブレグジットや米中貿易摩擦は、2020年においても金価格を下支えし続けると見られる。ブレグジットや米中貿易摩擦の行く末は、誰にも分からない。
TD証券は投資家に対して「商品投資顧問(CTA)の資金が年末にかけて金へ流入するとは考えられない」と述べた。CTAは、年末には取引量が少なくなる傾向がある。
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