せんと | 2020年06月15日 15:30
新型コロナウィルスの世界的な流行が続いていますが、各国のバイオ企業によるコロナワクチンの開発競争が過熱してきています。
そして、アメリカや日本の開発のニュースが目につきますが、中国が先手を取る可能性が浮上していることをご存知だろうか?
中国のコロナワクチンの開発のニュースは、日本人投資家にとってほとんど情報が入ってこないことでしょう。
だから、今回は中国企業のコロナワクチンの開発はどのくらい進んでいるのか深掘りして話していきたいと思います。
それでは今日もお付き合い下さい。
世界保健機関(WHO)によると、2020年5月下旬時点で、世界で120種類を超えるワクチン候補の開発が進行中であると発表されています。
この中で、臨床実験段階に入ったのは10種類あると言われていて、そのうち中国が5種類、欧米が5種類(このうちバイオNテックと米ファイザーの共同開発に上海復星医薬(HK:02196)が参加)となっています。
米食品医薬品局(FDA)
「(ワクチン開発競争で)最初にゴールした国がいちはやく自国経済とグローバルな影響力を回復する」との見解
ここでも、米中の競争が鮮明となってきています。
さらには、アメリカFBIが「中国が機密情報に対してハッキングしている」として、調査も開始されるなど負けられない戦いが続いています。
中国政府とアメリカ政府の動きを比較確認していきましょう。
中国政府は、国際連携や共有などの協調姿勢を前面に押し出しています。
しかし、ワクチンの早期実用化に向けて中国国内では、中国国内機関・企業への支援を強化しています。
李克強首相の5月22日の政府活動報告において、1兆元(約15兆円)の特別国債を発行し、ワクチン開発を含めた感染症対策費に充てる方針を明らかにしました。
(この辺のニュースも、日本ではほとんど報道されていません)
対してアメリカも、「ワープスピード(超高速)作戦」と題して、100億ドルと予算を投入してワクチンの開発を後押しする方針です。
米、コロナワクチンで製薬7社と協力-ワープ・スピード作戦の一環(ブルームバーグ)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-04/QBDEP5T0AFB901
世界のワクチン開発件数もグラフでまとめたので、置いておきますね。
資料は、ネイチャーから発表されたデータを元に作成しています。
アメリカの件数も多いですが、中国も相当多いですね。
日本やオーストラリアなどを見ても、件数が全然違いますよね。。。
まぁ、件数が多ければ開発が成功するとは言えませんが、政府などからの巨額のバックアップも開発を後押しするのは間違いありません。
1日でも早くワクチンができることを祈りましょう。
中国のワクチン開発は、かなり有利な位置にあるとみられています。
現状報道されている、2つのプロジェクトを紹介しましょう。
まずは、香港上場のバイオスタートアップ康希諾生物(06185)と中国軍事医学研究院との共同プロジェクト開発チームです。
4月中旬に世界に先駆けて臨床試験のフェーズ2に突入し、5月22日には英医学誌『ランセット』で論文を発表しました。
アデノウイルスベクターを用いた遺伝子組み換えワクチン「Ad5-nCoV」の安全性と免疫反応の誘導が、フェーズ1で確認されたと報告しました。
最終段階のフェーズ3は、新型コロナの流行が続くカナダで行う予定で、カナダ当局からすでに認可を獲得済みと報道がされています。
康希諾生物(06185)は、香港証券取引所(00388)が18年4月、バイオ分野のスタートアップ誘致に向けて上場要件を緩和したことを受けて、翌19年にメインボードに上場したバイオ企業のうちの1社です。
この会社の開発チームは、エボラウイルスや髄膜炎菌など各種ワクチン開発をしていると言われていますが、いずれもまだ量産段階には至っておらず、19年の売上高はゼロでした。
本当に開発はされているのか?なんて噂もある中で、なんとモルガン・スタンレーはレポートで、この会社に対して強気の発表をしています。
レポート内容は、ワクチン開発の成功率がこれで、推定20%から60%に上昇したとしていて、早ければ年内承認の可能性もあるとしています。
2021年には8000万本のワクチン販売を想定していて、「2021年のリスク調整後販売額が29億元に上る」とのかなり具体的な予測値を示しているので、信憑性は高いのかもしれない。。。
2つ目の開発プロジェクトを見ていきましょう。
国務院・国有資産監督管理委員会(SASAC)が5月末に、「中国医薬集団が開発する不活化ワクチンが、2020年末から2021年初めにも量産化のめどが立った」と報告しています。
中国医薬集団は、中国最大の医薬品グループで、国薬控股(01099)の親会社です。
「フェーズ2までに良好な結果が得られた」としていて、フェーズ3が終了し次第、実用化をして北京と武漢で年産計2億本のワクチンの生産を見込んでいると報道されています。
実際にこの2つのプロジェクトが順調に進んだとすると、中国はかなり優位になっていきそうですね。
世界中から見ると、中国企業に対して疑問を抱く人もたくさんいると思いますが、実際にコロナウィルスに有効なワクチンが出来上がれば、何も言うことはありません。
WHOからも、世界の研究機関がどのくらい開発が進んでいるのかのレポートが発表されています。
今回は、中国企業のみを抜粋して表にまとめておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
比較として、他の国でのワクチンの開発も話しておきます。
現在、アメリカで先行しているのは新興バイオテクノロジー企業『モデルナ』のチームです。
7月にも「mRNA」ワクチンがフェーズ3入りするとの報道がされています。
さらには、アメリカ『イノヴィオ・ファーマシュティカルズ』のDNAワクチン「INO-4800」もフェーズ2に入ったとの報道がされています。
ヨーロッパ系では英オックスフォード大学とアストラゼネカのチームが5月下旬に、フェーズ2および3を開始すると発表しています。
ここで考えて欲しいのは、臨床試験の進度で先行することが、『ワクチン開発成功に直結するとは言えない』ということですね。
世界のどの開発チームがコロナワクチンの開発成功をするのか、まだまだ検討はつけられないですね。
また、専門家によるとスピード重視の開発が行われているとは言っても、実用化までにはまだまだ時間がかかるとの意見の人も多いんですよね。。。
各国から出されるニュースに関して、注目しておきたいところです。
今回は、日本のニュースに関しては情報がたくさん出ているので、あえて取り上げませんでした。
早くワクチンができるといいですね。
読んでいただいて、ありがとうございました。
感謝です。
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