YUTA | 2020年06月17日 11:36
6月15日の米国株市場は最初こそ大きく下落していたのですが、中央銀行のFRBが個別企業の社債の買い入れを発表するなど追加の支援策を発表したことで、結局は前日比でプラスに転じました。
先週から大きく株が下落する流れがありましたが、FRBが何かしらの支援策を発表して、結果的に株式市場が回復するだろうというのは、ある程度予想通りの展開でした。
こんな展開が続くと「FRBが支えてくれるなら、何も考えず全力で株に投資すればいいじゃないか」という考えが生まれそうですが、FRBの政策もメリットばかりではありません。
コストのない政策はないです。
今のアメリカの企業は社債が歴史的な水準にまで高まっていますが、今回のFRBの支援策は「社債をより借りやすくなることのデメリット」も含まれているように思います。
この記事のポイント
中央銀行のFRBは個別の米国企業の社債を買い取る追加の政策を発表しました。
FRBの支援策の中身はここで説明するよりも、ニュースサイトを確認したほうが正確なので、ここでは触れません。
今回のFRBの発表については、次の3点を抑えておけば良さそうな気がしています。
FRBの追加社債購入
今回のFRBの政策のメリットはわかりやすいです。
新型コロナウイルスで業績が悪化している企業でも社債が発行しやすくなるはずで、これは社債の投資家や株式投資家にとっても良い知らせです。
一方で、デメリットは少しわかりにくいかも知れません。一言でいうと、FRBの助けで借金がしやすくなって米企業が社債を増やすと、将来の利益が減ったり、将来の成長率が下がったりする恐れがあると思っています。
FRBの社債購入がもたらすデメリット
アメリカの社債規模はまだ新型コロナウイルスがピークを迎えていない2020年1-3月の段階で、かなりの高水準でした。
以下は、アメリカ企業の社債のGDP比ですが、既に2020年1-3月期で過去の景気後退(灰色の期間)の最悪期を超えています。
上記のグラフの最新版はこちら
企業は既に社債が多いことを知っていても、新型コロナウイルスで業績が不透明なので資金を確保するために、ただでさえ社債を増やさざるを得ない事情があります。
FRBが追加社債購入でこうした企業を支えるのは短期的にメリットが大きいですが、社債の増加を加速させることに繋がりそうです。
FRBの追加社債購入は中長期的に見た場合に、企業が社債を発行しやすくなって債務が膨らみ、米国企業の成長率鈍化や次に債務危機が起こった場合に損失規模が大きくなるなどの、デメリットもありそうです。
デメリットがあるからといって今すぐ株を売る必要は全くないと思っていますが、FRBが何でも助けてくれると思うと中長期的には痛い目にあうので、長期投資家ならいずれ遭遇するかも知れない問題として、米国株に投資を続けながら頭の片隅で警戒したいと思います。
金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある場合は英語版が優先されます。