YUTA | 2020年07月07日 11:45
市場の予想インフレ率がとてもゆっくりと、しかし確実に上昇しています。
だたし、この記事で言いたいのは、「悪いインフレが始まって、景気が悪くなるから株は売り」ということではありません。
予想インフレ率は新型コロナウイルス時のショックで一時的に急激に低くなった状態から、通常時のインフレ率にゆっくりと戻るかのような程度です。なので、悪いインフレどころか「景気回復を織り込み始めた」良いニュースなのかも知れません。
歴史的な低金利が続いている中、この緩やかなインフレ率の上昇の恩恵を受けるのは、ゴールドへの投資です。
ゴールドの価格は先日1800ドルを超えましたが、時間をかけながら歴代最高値の1923ドルを超えていく可能性があります。
この記事のポイント
市場が予想している予想インフレ率(10年国債を使った期待インフレ率)が、緩やかに上昇しています。
20年の3月末に0.5%までインフレ率が低下した後、この記事を書いている7月4日時点で1.4%にまで回復しています。
※最新の予想インフレ率はこちらでご確認下さい。
よくインフレ率が上昇すると「悪いインフレが起こって、株が下がるのでは」と言われますが、今のところその心配はなさそうです。
インフレ率が上昇して株に悪影響を与える場合には、次に上げたような3つの段階を踏むことが多いですが、今はFRBが目標にしている2%を下回る水準なので心配するレベルではありません。
インフレ率は水の温度と同じで、低すぎても高すぎても問題になります。
2020年3月の予想インフレ率はたった0.5%でデフレに向っているような状況から、今は1.4%まで上げてきて、適温(理想)の2%に近づいてきているのが現状です。
景気の回復を市場がゆっくりと折り込んでいると言えるかも知れません。
この緩やかなインフレ率の上昇が今後も続くなら、ゴールドの価格を押し上げる効果があるかも知れません。
ゴールドはインフレ率が上昇すればするほど、価格が上昇しやすい特徴があるからです。
ゴールドの価格上昇パターン
2020年は歴史的な低金利が続いている状態の上に、インフレ率まで上昇すれば、ゴールドへの投資には最適な環境になります。
2020年に入ってからFRBも、日銀が取り組んでいる長期金利を一定に抑える政策(イールドカーブ・・コントロール)を導入するか検討していますが、もしも今後採用されれば金利の上昇が抑えられるので、さらに追い風が吹く可能性もあります。
もともとゴールドのリターンは株よりも小さいので、株ほどの高いリターンは期待できないかも知れませんが、今の米国株がやや割高な気がするので、投資対象としてゴールドETF(ティッカーシンボルGLDやIAU)も面白いなと思います。
ただし、ゴールドへの投資はすぐには報われず、リターンが出るまで時間がかかる可能性が高いです。
理由は、2011年9月につけたゴールドの史上最高値の1923ドルが近づいているからです。
株でもそうですが、歴代最高値を更新するまでしばらく価格が横ばいになる動きが見られることが多いです。
最高値をはっきりと超えるまでは時間がかかるかも知れませんが、インフレ率の緩やかな上昇や(今後もしかしたら採用される)イールドカーブ・コントロールの好影響があれば、最高値を超えるチャンスも十分あると思います。
新型コロナウイルスの感染第2波がなければ、アメリカは3-4月が景気の最悪期で今後は景気の回復期になるものと先月まで思っていました。
その場合は、ゴールドよりも景気回復の恩恵を受けて株のほうがリターンが良くなるはずと以下の記事で書きました。
2020年6月7日時点で、ゴールドの価格の下落はそれほど心配するレベルに達していない。
ただし、景気回復に来ていると思うなら、これからは株のほうがリターンが高くなる可能性が高い。リターンを取りに行きたいなら、ゴールドの一部を手放して、米国株に振り向けるのも手。
しかし、7月4日時点では、アメリカでの新型コロナウイルスは3-4月のピークを大きく超える再拡大が続いていて、景気は20年3-4月を超こえる最悪期がこれから訪れる恐れがあり、上記記事を書いた当時よりも、私は株に慎重になっています。
代わりにゴールドはチャンスも増えてきたかなと思っている今日この頃です。
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