YUTA | 2020年08月05日 16:40
P&G (NYSE:PG)の2020年4-6月期の決算発表がありました。結果はとても良かったです。
この企業も新型コロナウイルスの影響を受けていないわけではなく、リモートワークが広まって美容品やひげそりなどの需要が減っている製品も多く抱えていますが、一方で衛生意識の高まりから洗剤などの生活用品が急成長したおかげで、予想を超える良い内容になっています。
この記事のポイント
P&Gの決算では買収や為替の影響を除いた製品の売上(オーガニックセールス)をみて、どの程度成長できているかを判断することが多いのですが、オーガニックセールス成長率も前年比+6%と高い水準を維持できました。
私は2013年からP&Gの株を保有しているのですが、近年は特にP&Gは業績が好調な印象があります。
P&Gは2010年代後半からブランドの数を絞って改革を行って、2019年頃から成長率を回復させることに成功しましたが、新型コロナウイルスに直面しても成長は維持できているように見えます。
またオンライン販売を増やしていることも、収益の成長につながっているようです。オンラインの売上高は年間で40%増の70億ドルを超え、会社全体の10%を超える規模になったことを明かしました。
P&Gの好調の要因を探るために、ここからは部門別売上を見ていきます。
部門説明
単位:10億ドル | 収益 | 構成比 | 前年比 |
---|---|---|---|
美容 | $3.2B | 18% | +0% |
グルーミング | $1.5B | 9% | -5% |
ヘルスケア | $2.0B | 11% | -1% |
ホーム | $6.3B | 36% | +11% |
ベビー・女性・ファミリー用品 | $4.6B | 26% | +3% |
P&G全社 | $17.7B | 100% | +4% |
注目は売上比率の高い「ホームケア製品」です。洗剤などの家庭を衛生的に保つための商品が、ウイルスの流行してから飛ぶように売れているようで、この売上成長率は+11%と他のカテゴリーを大きく上回っています。
以下は部門別のオーガニックセールス成長率ですが、ウイルスが流行した20年3Q(1-3月)と4Q(4-6月)のホームケア製品の売上は急上昇しています。
美容やグルーミング(ひげそり)などの人の目を気にする製品の売上が低迷していますが、ホームケア製品の成長がこれらの低迷を補ったようです。
ここまでP&Gの決算の良い面にふれてきましたが、この結果を受けて「P&Gの株は買いかどうか」と聞かれてると、判断に迷います。
簡単に割高かどうかを測るには、今後の予想利益の何倍の株価がついているか(Forward PER)を調べる方法があります。P&GのForward PERを調べてみると、年々増加していて割高感が増している傾向が見られます。
ちなみに、このForward PERの逆数をとると、長期のインフレ調整後のリターン(実質リターン)を概算で出せると言われます。現在のP&GのForward PERは25なので、今P&Gの株に投資すると実質で約4%のリターンが得られるようです。
P&G | Forward PER | 実質期待リターン |
---|---|---|
2014年 | 20.7 | 4.8% |
2015年 | 21.3 | 4.7% |
2017年 | 21.9 | 4.6% |
2018年 | 22.0 | 4.5% |
2019年 | 20.9 | 4.8% |
2020年 | 25.8 | 3.9% |
2020年8月 | 25.2 | 4.0% |
歴史的には株の実質リターンは6%前後なので、今のP&G株のリターンは少し物足入りない印象があります。
新型コロナウイルスが流行する中でもP&Gは収益・利益を伸ばしていて、安定した良い企業だと思います。ただし、世の中の投資家もそれをわかっているようで、既にP&G株はやや割高になっています。
新型コロナウイルスの中で売上を伸ばせる企業はそう多くないので、P&Gに限らず業績を伸ばしている企業はある程度割高になるのは仕方のない事かもしれません。
金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある場合は英語版が優先されます。