YUTA | 2020年10月13日 17:19
今週10月13日(火)から1ヶ月間、米国企業が立て続けに決算を発表するシーズンが始まります。
続々と決算発表される前に、この記事では前期までの米国決算を総括して、見えている課題を振り返っておきたいと思います。
前期4-6月の決算は、新型コロナの悪影響を受け最悪な決算になるかと予想されていましたが、実際には政府や中央銀行の景気刺激策の恩恵を受けて予想ほど悪化せず、企業利益は底打ちをしました。
企業利益の底打ちを背景に米国株のS&P500は上昇基調が続いていましたが、この数カ月間、ずっと課題になっているのは米国株は企業の利益に対して高すぎやしないかという点です。
株の割高感は(1)企業の利益が上昇して割高感が薄れる、または(2)株が下落して割高感が薄れるの2つのいずれかが起こって、いずれ解消されるはずです。もちろん望んでいるのは(1)なので、7-9月期も予想超えの決算が続くかどうかが注目されます。
この記事のポイント
前期4-6月の決算を振り返ると、この時期は新型コロナウイルスの悪影響を受けて最悪な決算が予想されていたのですが、実際にはこの記事の企業の利益は、予想されたほど悪化しませんでした。
Factsetがまとめた企業利益のグラフを見ると、たしかに前年比で大きく利益が悪化しているものの、予想ほどは落ち込んでいないことがわかります。
予想超えの決算が多かった原因は、アメリカ政府の経済対策や中央銀行による金融緩和の影響が大きかったと言われています。
日本でもコロナで全世帯に給付金が配られましたが、同様の経済対策はアメリカでも先駆けて行われていました。
この時期で良かったニュースは、予想超えの決算だけではありません。4-6月期でアメリカの企業利益予想は底打ちをして再び上昇をはじめました。
企業の利益予想が上昇すれば、株価は上昇するはずなので、これは良いニュースでした。
しかし、2020年4-6月期に予想超えの決算で企業利益が上向いたからと言っても、それ以上に株価が上昇してしまっているので、米国株はかなり割高な状況が続いています。
過去10年ほどの米国株S&P500を調べてみると、一株利益のおよそ15倍(PER15倍)の株価がついていたのですが、2020年10月時点で株価は企業利益の22倍(PERは21.9倍)にまで上昇しています。
過去の水準に比べると、どうも米国株は割高に見えます。
机上の空論ではありますが、もしも米国株の価値が見直されて、一株利益の22倍ではなく歴史的な平均値の同15倍まで評価を下げられたら、S&P500は30%近くも下落することになります。
ただし、この30%の下落は恐らく中央銀行のFRBによる金融緩和が続いているうちは起こらなそうです。
2020年はFRBが金融緩和を積極的にやって、金利をとても低く抑えているので(国債がとても割高な状況を作り出して、株に運用資金が流れやすくなっているので)、多少株が割高でも簡単に値崩れしないで保っているからです。
それでも、いずれは金融緩和も縮小することを考えると、今の米国株の割高感は解消されたほうが健全です。
一般的に割高感が解消されるためには、次の2つのいずれかが起こる必要があります。
もちろん望んでいるのは(1)の企業利益が上昇して割高感が薄れることです。
企業の利益がすぐに数十%も上昇するのはとても難しいことですが、金利をゼロに据え置くと見られている2023年まで10数四半期で、予想超えの企業利益の決算を出して、少しずつでも割高感を解消していくことが望まれます。
なので、まずは7-9月期も予想超えの決算が続くかどうかが注目です。
ちなみに、世界的に著名な投資家の中には、2020年は株への投資をかなり少額に抑えている人も少なくありません。
その人達が見ている未来は、株の下落がいずれ訪れる(2)の世界です。現金など株以外の資産を多めに持ち、株が下落した後で安くなった株を買う準備をしているように見えます。
今後数年で(1)(2)のどちらの展開になるのかはわかりませんが、どちらの方向に傾いているのかを定期的に米国株の割高感をチェックすることで見たほうが良さそうです。
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