週次レビュー:市場ではリスク・オフ・モードが台頭、新たな変異株の出現を受けて、米国債は上昇

 | 2021年12月01日 09:20

  • オミクロン株の出現を受けて、グローバルの金融市場には下押し圧力がかかる展開;これまでの変異株よりも突然変異数が多いとの分析

  • S&P500種指数はサンクスギビング・デー後では最大の下落を記録

  • 原油価格は12%下落し、1バレル70ドルを下回る状況

  • オミクロン株と名付けられた新たなコロナウイルスの変異株が出現し、このトピックが今後1週間は市場センチメントを席巻するとみており、サンクスギビング・デーである木曜日に発表された 新規失業保険申請件数は市場予想よりも良好な結果を示すなど、先週発表された米国の経済指標への注目度が下がる結果となった。ただし、南アフリカで最初に検出されたオミクロン株の詳細は、依然として不透明であり、先週金曜日に世界保健機関(WHO)は当該変異株を「懸念される変異株」に指定 し、他の変異株よりも脅威であるとの見解を示している。

    金融市場では金曜日にパニック売りが発生し、安全資産への逃避がみられた。株式、金、米ドルはいずれも下落した一方、米国債には投資資金が流入した。

    米国、欧州の市場指数はいずれも急落して先週の取引を終了/h2

    S&P500種指数は金曜日に2.77%低下し、過去9ヶ月間で最も大きな下落幅となった。また、この下落はサンクスギビング・デー明けの短縮取引日に起きたことは特筆に値する。カウンター・トレードがほとんどなかったことを勘案すると、半日で如何に大きな値動きがあったかを示す展開となった。

    1941年にフランクリン・ルーズベルト大統領が11月の第2木曜日から最終木曜日にサンクスギビング・デーをずらして以降、サンクスギビング・デー明けの取引日の中では今回最もS&P500種指数は下落したことになる。

    最も下落圧力を受けたのは、景気感応度の強い株式指数だ。米国株式指数最古の大型ブルー・チップ企業で構成されるダウ平均株価は、905ポイント、または2.5%下落した。これは2020年10月以来の大きな下げ幅だ。