米国株式市場は先週金曜日に上昇し、ベンチマークであるS&P 500種指数は、1982年以来高位なインフレ率を示した月次の消費者物価指数（CPI）の発表を受けて、過去最高値で引けた。
今週は、水曜日の米連邦準備制度理事会（FRB）の政策決定に注目が集まり、通常より動きのある週になると予想される。FRBは、資産購入プログラムのテーパリングの速度を速め、2022年に利上げ開始を示唆すると観測されるからである。
またFRBに加えて、米国の最新の卸売物価指数と小売売上高を含む重要な経済指標の発表があり、更にAdobe (NASDAQ: ADBE)、FedEx (NYSE:FDX)、Rivian Automotive (NASDAQ:RIVN)などの企業の注目すべき企業決算の発表もある。
市場の方向性に関係なく、この記事では魅力的な銘柄と、弱気な見通しを有する銘柄を紹介する。
ただし、当見通しは今週1週間以内のことであることに注意してほしい。
魅力的な銘柄：フォーティネット（Fortinet）
Fortinet（NASDAQ:FTNT）は今週注目される銘柄となるだろう。なぜなら成長著しいサイバー・セキュリティ株として同社株は年次銘柄入替株の一つとしてNASDAQ 100 指数に組み入れられるとの観測があるからである。
同社は12月17日（金）の引け後に、NASDAQ総合指数に上場する有力な米国の大企業100社を対象とした主要ハイテク株の株式指数の一部になるとの見方が強まった。
一般的に、指数に採用された銘柄は、流動性が高まり、個人投資家や機関投資家の関心が高まるというメリットを持つ。2010年から2020年までにNASDAQ100に採用された銘柄を分析したNASDAQの調査によると、発表前の5日間から市場全体をアウトパフォームする傾向があるとしている。
これはハードウェア・ファイアウォール、ウイルス対策ソフトウェア、侵入防止システム、エンドポイント・セキュリティ・コンポーネントなどのサイバーセキュリティ・ソリューションを開発・販売する、クラウド型情報セキュリティ企業である同社株にとっては追い風となるだろう。
148.53ドルで2021年の取引を開始した同社株は、11月8日に355.35ドルの史上最高値を記録したが、先週金曜日の取引は332.63ドルで引けた。現在同社の時価総額は約544億ドルである。
コロナ禍を受けて在宅勤務への大規模な移行により企業のデジタル化の流れが加速する中、同社の製品やサービスに対する旺盛な需要を背景に今年に入り同社は大きく成長してきた。
年初来から、この急成長中のハイテク企業株は約124％の上昇を記録しており、同時期のS&P500とNASDAQの上昇を上回っている。
弱気な見通しを有する銘柄：Robinhood Markets
FRBが従来予想より積極的に金融政策を引き締める方向で検討していることから、Robinhood Markets (NASDAQ:HOOD)のような採算の悪いテクノロジー企業株は損失拡大が予想される。また、同社が手掛ける株式取引サービスへの悪影響を投資家が不安視しているため、同社株にとって厳しい週になると予想される。
一般的に、FRBのハト派色が弱まると期待される局面では、長期的なキャッシュ・フローの価値を低下させる恐れがあり、バリュエーションが高い高成長のハイテク銘柄にはより重い負荷となる傾向がある。
同社は、7月下旬に注目を集めたIPOを経て、ニューヨーク証券取引所で初値が38ドルで取引開始されたが、8月4日に上場来高値である84.12ドルをつけた後、75％以上も下落し、先週金曜日は20.13ドルという記録的な安値引けとなった。同社株式市場取引の時価総額は173億ドルである。
ここ数カ月の同社の業績悪化が示すように、同社が10月下旬に発表した第3四半期の企業決算は、個人投資による株取引や暗号資産の取引が減少したことで、弱い内容となった。
また悲観的な見通しを発表し、季節要因による逆風や個人投資家の株取引の低下など、第3四半期の業績に影響を与えたマイナス要因の多くが年末まで続く可能性があるとした。
下落基調を加速させるような悪材料が他にもある。同社は10月に、ブローカーと取引会社の間の支払い方法（「PFOF（Payment For Order Flow）」と呼ばれる）についてSEC（米国証券取引委員会）が調査介入する可能性があり、同社の中核事業に対するリスクとなる可能性があると指摘した。
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