世界的な車載用半導体を巡る混乱を受けて、2021年最悪の商品となったパラジウム

 | 2021年12月14日 20:43

今年のパラジウムは、一時は1オンス=3,000ドルを超える史上最高値を記録するなど、非常に有望なスタートを切った。

しかし、車載用半導体の世界的なサプライ・チェーンの停滞により、ガソリン車用の触媒と排ガス浄化剤に利用するパラジウムは低迷し、足元は年初来で約32%下落している。

ディーゼル車用の触媒と排ガス浄化剤であるプラチナも、2021年に14%以上の下落と軟調な推移を続けている。

Hebba Alternative Investments社は、月曜日に掲載した記事で、「最新のデータをみると、自動車生産にとって最悪の局面は終わったように思える」と述べている。

同社の投資マネージャーは、2つのいわゆるプラチナ・グループ・メタル(PGM)の状況が正常に戻ったわけではないが、それでも 「第3四半期ほど悪くはない 」と指摘している。

このように世界中で自動車生産が改善しているにもかかわらず、パラジウムに大量の投機的なショートが続いていることには驚きが隠せない。

「我々は自動車メーカーとその見通しを注視しているが、彼らの多くは第3四半期が最も厳しいと予想していたが、生産は回復基調であると考えているようだ」とHebba氏は述べ、例えばトヨタ自動車(NYSE:TM)は、12月の生産が7ヶ月ぶりに予定通りになると予想していると話した。

「また生産量の増加に伴い、自動車メーカーは適正在庫を通常のレベルに戻すために多くの生産が必要となることも理解している。即ち、プラチナやパラジウムを含む自動車関連のあらゆる原材料にとって、非常に強気な見通しを持っている」と付け加えている。

火曜日の先物取引で1,685ドル以下となったパラジウムは、「購入するには非常に魅力的な価格水準」であると同氏は言う。

そのため、来年はパラジウム価格においては、良好な年になるだろうと予想している。

「大規模かつ投機的なショート・ポジションにより、劇的な反転が可能になる」と同氏は述べ、「2022年は自動車生産にとって歴史的な年になる可能性があり、過去10年で最低水準にある現在の在庫量から、自動車の適正在庫確保への再構築が期待できる自動車の購買担当者が、2022年の増産に備えてパラジウムを購入するとみられ、今後は需要超過となるかもしれない」と付け加えた。

一方で、今年の価格暴落でみられたように、「自動車メーカーは来年も在庫を積みます可能性もあり、価格は下落する恐れがある 」と警戒する。

「一旦、価格が上昇し始めると、購買担当者が大量のPGMを確保しようと買い急ぐ可能性がある(2019年にはパラジウムへの支出額は30%増していた)」と指摘する。

特に2021年9月のパラジウムの輸入量は21万3,000オンスと好調で、2020年9月の17万8,000オンス、2019年9月の24万1,000オンスと比較しても良好な水準だ。

さらに、パラジウムの純輸入量(輸入量―輸出量)は、2019年の14万オンスに対し、今年は15万1,000オンスとなり、コロナ禍前の2019年を上回った(2020年は僅か9,000オンス)。 ちなみに、2019年9月は自動車生産台数が平年並みだった。

しかし、パラジウムおよびプラチナのテクニカルはともに弱い/h2