Netflixの株価は15%下落。足元の水準は買いか

動画配信大手のNetflix（NASDAQ:NFLX）の株価は、この秋に目覚ましい上昇を遂げた後、足元のリスク回避の環境下においては他のテクノロジー企業を下回って軟調な推移をみせている。

同社の株価は、過去1ヵ月間で12％以上下落し、下落率は Alphabet （NASDAQ:GOOGL）やMeta Platforms（NASDAQ:FB）などと比較して約2倍も大きい。11月17日に700.99ドルの史上最高値を記録して以来、月曜日に593.74ドルで取引を終えており、最高値から約15%下落したことになる。

足元みられている低迷は、米連邦準備制度理事会（FRB）が早ければ来年の利上げを目指して金融緩和策の一部を縮小し始めたことで、投資家が高成長のテクノロジー企業への投資意欲を失っていることに起因する。

軟調な株価は2022年まで続く可能性があるため、最高のストリーミング・エンターテイメントを提供する同社株を安値で購入したいと考える投資家にとっては、良いエントリー・ポイントになるかもしれない。このような楽観的な見方の背景には、現在進行中の動画ストリーミング競争において、Netflixが他の大手メディア企業よりもはるかに優れたパフォーマンスを示しているという明確な材料がある。

現在、株価は下落圧力を受けているにもかかわらず、同社の時価総額は老舗のWalt Disney Company (NYSE:DIS)とほぼ同水準にある。Netflixの最も近いライバルとされ、テーマ・パークやクルーズ・ライン、新たに開始したストリーミング・サービス「Disney+」など、巨大なエンターテイメント帝国を所有するDisneyの時価総額は、Netfixの2,630億ドルに対し、Disney株が今年に入って20％も値下がりした後、2,640億ドルとなっている。

各種特性値をみてもNetflixは競合他社からリード

Netflixが他のストリーミング・サービスと比べて明らかに優位に立っているのは、オリジナル・コンテンツの配信増加数である。Netflixは今年、オリジナル・コンテンツに約170億ドルを投じる予定で、これは昨年から40％の増加になる。

オリジナル・コンテンツへの支出が膨らむ一方で、同社は営業利益率の拡大に成功している。2017年に7.2％だった利益率は、2020年には18.3％にまで拡大した。9月末に発表された第3四半期の時点では、利益率は23％近くまで改善していることが明らかとなった。

同社の利益率の拡大や、ビデオ・ゲームなどの新市場への進出は、アナリスト界隈が同社株に期待を寄せている要因のひとつである。Investing.comが調査 した44人のアナリストのうち、過半数がNetflixに「アウトパフォーム」の評価を与えている。

出所：Investing.com

平均的なコンセンサス予想では、現在の価格から14％の株価上昇の可能性があるとしている。

JPMorganのアナリストであるDoug Anmuth氏は、目標株価を750ドルと設定しており、同社の世界的な事業展開の拡大に伴い、株価はさらに上昇すると期待している。同氏のメモにはこう付け加えられている。

「我々は、第4四半期のコンテンツ事業が引き続き強化されていること、コロナ禍による影響が軽微であること、季節要因が改善されていること、Netflixの普及率が低いアジア太平洋地域において今後も成長余地が高いことなどから、同社株に対してポジティブな姿勢を維持している。」

モルガン・スタンレーは、今月、同社に対して引き続き評価をオーバーウェイトとし、下記のようにその理由を説明している。

「同社株に対するオーバーウェイトの評価は、Netflixが大規模でグローバル、かつ高収益のストリーミング・ビジネスに強みを有していることに基づいている。この見通しでは、2021年から2025年までにEPSは年率約30％、フリー・キャッシュ・フローはそれよりもさらに急速に成長させるという予想に現れている。」

Netflixは、第3四半期に全世界で440万人の有料会員を獲得し、12月末までの3ヵ月間で850万人の増加を見込んでいる。同社の全世界の有料会員数は2億1,400万人に達している。

長期的な投資家が考慮すべきもう一つの好材料は、Netflixが事業成長を負債に依存しないで実現できることである。同社は、制作資金をこれまで何年も借り入れに頼ってきたが、日々の運営を支えるための資金調達をする必要がなくなったと発表している。同社は負債の削減を計画しており、最大で50億ドル相当の自社株買いを予定している。

結論

Netflix の株価は、過去1年の特殊な環境から抜け出し、十分なキャッシュを保有し、市場での地位を強固なものにしている。優れたコンテンツを有するなど、いくつかの要因により、現在の軟調な状況下にあるが、逆に魅力的な投資タイミングであるかもしれない。.

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著者: Investing.com