本日のチャート:金価格はついに底打ちか

 | 2021年12月29日 05:33

昨日、S&P 500種指数は今年つけた最高値に迫る水準まで上昇したが、金投資家にとっては、 金価格が5週半振りの高値に上昇したことの方により関心があるかもしれない。

FRBが最近タカ派に転じたことを考えると、貴金属の上昇は米ドル安に起因するものではないだろう。実際、米ドルは1年半ぶりの高値から1%以内に収まっており、金価格を押し上げるどころか、圧迫するはずだ。

しかし、オミクロン株が急速に広まったことで、投資家は株式投資を通じてリスクを取りつつも、安全資産を保有し続けていると考えられる。もちろん、金は典型的な安全資産である。

また、インフレ・ヘッジとしての目的から金が買われているかもしれない。しかし、FRBが金融政策の引き締めを続けることから、インフレ・ヘッジとしての需要が薄れることも考えられ、その点では金のニーズは失われていくかもしれない。インフレはすぐに緩和されるかもしれない。サプライチェーンの混乱がようやく緩和され、自動車メーカーは待望の部品を手に入れることができたことなどから、発表された日本の11月の鉱工業生産は、過去最高の水準となり、価格上昇と供給不足を一部解消することができていることが確認された。

これらのことは、長期的には金のファンダメンタルズにとって良好なことであり、ドルの購買力が低下して、金価格の上昇基調が加速しないとしても、安全資産として上昇する可能性はある。テクニカルな観点からも、旺盛な需要が金価格を押し上げると期待できる。