今週のトピック:インフレ、金利、地政学的リスクの強まり、上昇するボラティリティ

 | 2022年02月14日 12:43

  • 消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、FRBに金融引き締めの強化を迫る。
  • 米国は、ロシアがウクライナに侵攻した場合に報復措置を実施すると警告。
  • 上記のようなリスク・テーマは依然として存在している中、さらに土曜日にロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったバイデン大統領によれば、「ウクライナに侵攻した場合、欧米は断固とした対応をするだろう」と発言し、事態の深刻化を示唆した。今週の市場ボラティリティが落ち着くことはないと思われる。この記事を書いている時点では、米国と英国が自国民にウクライナからの退去を呼びかけている。

    実際、決算期の追い風が弱まり、先週の米国の消費者物価指数が予想以上に高く、過去数十年で最高レベルのインフレが進行し、さらに利上げも射程圏内に入ってきたことから、投資家は逆風の高まりに早期に反応し、週末の市場ではリスク・オフの動きへと転じた。

    CPIの過熱を受けて市場は下落、景気敏感株への資金流入が激化

    1月の消費者物価指数(CPI)はさらに0.6%上昇し、前年同月比は7.5%となり、1982年2月以来の急激な上昇となった。またFRBが好む指標で、(価格変動の激しいエネルギーと食品価格を除いた)コア・インフレは、予想を上回る6%の上昇となった。

    一方、インフレ率を差し引いても実質賃金は0.1%上昇し、週次の新規失業保険申請件数は予想の23万件を下回る22万3千件に減少した。 賃金の上昇と失業率の低下 は、より良い給料で働く人が増えることでモノへの需要が高まるため、インフレ率の上昇の追加的な要因となりうる。

    先月、パウエル議長がハト派からタカ派に転じて市場に衝撃を与えた後、株価は過去最高水準から反落した。過去数年間で最悪の株式市場の暴落を含む金融市場全体の劇的な変動により、FRBの高官たちは投資家をなだめるために立ち上がり、市場が恐れていたほど急激な利上げは行われないと述べた。

    そのおかげで、強気筋が市場に戻ってきた。しかし、本当にFRBはこのような約束を守ることができるだろうか。政策担当者が何と言おうと、彼らの任務はインフレが手に負えなくならないように管理することである。そしてそれは、投資家がどう思おうと、必要なだけ頻繁かつ急激に金利を引き上げることを意味する。インフレを抑制できなければ、米国経済は後退し、市場の暴落につながる可能性がある。

    米国の主要4株式指標(Dow Jones、S&P 500、NASDAQ、Russell 2000)は、先週金曜日に下落した。ハイテク株の構成が多いNASDAQ 100は3.07%の急落となり、最大の敗北者となっている。

    大手ハイテク株の不振は、金利が上昇する中で、投資家が最も価値の高い株式を最初に処分するという循環的な投資行動に沿ったものである。また、バリュー株を代表するインデックスは、ハイテク・グロース株の下落を上下反転させたかのようにアウトパフォームしている。経済成長に依存する小型株を多く含むRussell 2000は、0.89%の下落に留まり、長らく低迷していた同種のインデックスの中で最も良いパフォーマンスとなった。米国の大手企業30社のブルーチップ株で構成されるダウ工業株30種平均も、1.43%の下落に留まっている。

    ハイテク・セクターが3.05%下落したように、主にテクノロジー系の銘柄に引っ張られて、S&P 500全体では1.9%下落した。経済的に敏感なセクターであるエネルギー・セクターはアウトパフォームして、2.91%上昇している。

    またグロース株とバリュー株の間には、週次、月次、3カ月単位でも同じようなパフォーマンスの関係がみられた。市場は完全なサイクル・ローテーション・モードに入ったようだ。

     また、NASDAQ100は弱気のテクニカル・パターンを完成させつつあるようにみえる。