パラジウムのジレンマ:ロシア危機は自動車製造の生産低下より悪影響?

 | 2022年03月01日 21:39

パラジウムの価格は、1月に大きく上昇した後、2月も連騰となった。月曜日のニューヨーク先物取引では、自動車触媒用パラジウムは、過去最高値まであと300ドル余りになるところまで値上がりした。チャートでトレンドをみると、過去最高値を更新する可能性がある。しかし、自動車のファンダメンタルズはそうはならないことを示唆しているかもしれない。

パラジウムは11月末以降、毎月のように急騰し、過去3カ月で累計43%、今年だけで30%上昇している。

ロシアのウクライナ侵攻に対応するため、欧米諸国がここ数日、同国に一連の制裁措置を講じたため、パラジウム生産量トップのロシアの政治的、財政的先行きに対する懸念が、この上昇を下支えしている。

パラジウムの強気筋は、紛争によってロシアのパラジウム生産に支障が出るか、制裁によって他のコモディティとともに同国から輸出が低迷するとみている。

しかし2020年のコロナ禍の発生以来、自動車生産 の減速が続いており、ガソリン・エンジンの排ガス浄化剤であるパラジウムの上昇余地は限定的であろう。