石油関連株:原油価格が上昇しても、ロシアのエクスポージャーが大きくボラティリティは高位

 | 2022年03月08日 23:07

当記事はInvesting.comの独占記事

  • ロシアへの制裁、報復は原油にとって強気材料

  • 欧米の石油会社が恩恵を受ける可能性

  • 欧米企業がロシアに有するエクスポージャー

  • 国有化の波がエネルギー分野を襲う可能性

  • 米国のエネルギー政策は転換を迫られる可能性

ロシアは世界有数の原油生産国である。また国際石油カルテルであるOPECの非加盟国の中で最も影響力のある国でもある。実際、市場は現在カルテルをOPEC+と呼んでおり、プラスの部分は主にロシアのことを指す。

2016年以降、ロシアはカルテルの生産決定に大きな影響を及ぼしている。サウジアラビアが依然として世界の主要生産国である一方で、OPECは同国のほか、ロシアにも指導、承認、協力を求めている。ロシアの石油相Alexander Novakは、プーチン大統領に直属の存在だ。この6年間、プーチンは中東で勢力圏を拡大し、トップの意思決定者として世界の石油供給を誘導してきた。

2021年初頭、バイデン政権がより環境に優しいエネルギー生産・消費路線に乗り出し、これは石油カルテルにとっては朗報となった。米国では原油と天然ガスの掘削と破砕に対する規制の強化、キーストーンXLパイプラインの中止、アラスカにおける連邦土地での掘削と破砕の禁止、化石燃料リースの更新拒否、その他のパイプライン中止などを打ち出した。米国内での規制強化を受けて、石油カルテルは価格決定力を強化することができたのだ。原油価格はロシアがウクライナに侵攻するずっと前から順調に上昇していたが、侵攻によってエネルギー関連コモディティにはリスク・プレミアムが付加される展開となった。

米国と欧州のグリーン・エネルギー政策は、従来の炭化水素分野での新規企業の参入障壁を作り出している。既存企業は、地殻からの石油や天然ガスの抽出をほぼ独占したまま、よりクリーンなエネルギー生産へと向かっている。

一方、欧米の総合石油・石油関連企業の多くは、ロシアにて投資や合弁事業を行っている。ウクライナ戦争はその協力関係の終焉を意味し、投資先にて多額の損失を出す可能性が高い。制裁で関係が終わる可能性もある。そうでなくても、ロシアは報復として、欧米企業を追い出すかもしれない。ロシアは、世界を動かし続けるエネルギー関連コモディティで強い手腕を発揮している。

ロシアへの制裁、報復は原油にとって強気材料/h2

先週、ロシアのウクライナ侵攻によって原油価格が上昇するのではないかという疑念が消えるほど、エネルギー関連コモディティは爆発的に上昇した。