今週のトピック:ロシア・ウクライナ情勢によるヘッドラインが株式市場を押し下げ、利上げ効果を低減させる可能性

 | 2022年03月14日 00:25

  • 特異なセクター・ローテーションが示す、市場の異常な動き

  • FRBの利上げは本当に織り込み済みなのだろうか?

  • 今週は米国の金融政策とその市場に対する影響が市場参加者の関心の中心になるはずだが、ロシアのウクライナ戦争とそれによる欧州および世界への影響がヘッドラインの大半を占める可能性がある。

    米国連邦準備制度理事会(FRB)は、長年ゼロ近辺で推移してきた政策金利を、今週25bps引き上げると予想されている。FRBのパウエル議長はすでに利上げの意向を伝えているため、アナリストは大きな反応を期待していない。しかし政策担当者は、将来の利上げに関する予想、インフレに関する見解、または米国経済全般に関する見通しに対して、市場にサプライズを与える可能性がある。

    あるいは、市場の反応が政策立案者や識者を驚かせる可能性もある。いずれにせよ、FRBがパンデミック前以来の利上げに踏み切ったことは特筆に値する。2月の消費者物価指数が前年比7.9%と40年ぶりの高水準となり、政策引き締めに関する動向はさらに注目される。

    政策当局が史上最も緩和的な金融政策を実施した後、通貨供給量を減らし、借入コストを引き上げていることを考えると、利上げはすでに既定路線であるのに、市場はサプライズで強く反応する可能性がある。さらに2008年以降、低インフレまたはゼロ・インフレが何年も続いた後、現在の持続的なインフレの高騰が状況を悪化させている。

    FRBによる今後の取り組みは、市場を超金融緩和策から引き離すことを意図している。FRBの金融緩和策に依存し、人工的な経済を形成してきた市場での取引に慣れてしまった若い世代の投資家が、利上げを受けてどう反応するかは誰にもわからない。

    決算シーズンは基本的に終わり、投資家はニュースの欠如を他のヘッドラインで埋め合わせする必要性を感じるかもしれない。また、利上げのニュースがあまりにも既定路線であれば、欧州での紛争のほうが常に意識されることになる。紛争そのものでなくとも、戦争による供給障害、米国とEUによるロシアへの報復的な制裁措置 など、さまざまな影響が考えられる。しかし、現時点では、エネルギー価格の高騰と市場の混乱が最も大きな打撃となる可能性がある。

    S&P以外の株価指数ではデス・クロスが出現/h2

    先週を通して株式のボラティリティが作用し、S&P500指数は2.88%下落し、6月14日の週以来の低い水準で取引を終えた。