今週の見通し:コモディティ価格、FRBの利上げ見通し、株式市場の動向

 | 2022年03月27日 22:36

    • FRBはより積極的な利上げを行う可能性

    • 過去3年間で金利は最も高い水準で推移しており、調整局面を迎える可能性に注意

    今後1週間、投資家は様々な複雑な要因が相反する形で市場に影響を与える可能性があるため、多くのことに対処しなければならないだろう。

    ロシアのウクライナ攻撃が続くなか、金曜日には注目の3月の雇用統計が発表される。もし労働環境の逼迫が示されれば、次のFRBの利上げ幅は50bpsになるとの見方が強まるだろう。雇用者総数が増えれば、雇用主が労働者を奪い続けるため、賃金に上昇圧力がかかるとみられる。

    給与の上昇は需要も増加させ、米国のCPIが40年以上の高水準に達した後でも消費を押し上げるだろう。もう一つのインフレの引き金である原油価格の上昇は、インフレをさらに加速させる可能性がある。原油価格はすでに2011年4月以来の高水準にあり、2008年以来の高水準からわずか0.04%しか下回っていない。

    もし原油価格がこの高値を試す展開となれば、一部が危惧している通り、FRBはほぼ間違いなく利上げを継続せざるを得なくなるだろう。原油価格の高騰は通勤費の上昇だけにとどまらない。アメリカの産業は製品の製造と輸送を原油に依存している。したがって、原油価格が上昇すると、他の多くの商品の製造コストも上昇する。

    さらにコロナ禍の後、すでにインフレが進行していたことも、投資家の不安を増大させている。国際的に生産された製品が、サプライチェーンの混乱によって、世界的にコストが高騰したのである。現在、ロックダウンは緩和されつつあるとはいえ、新たな対ロ制裁と、プーチン大統領によるロシアからのコモディティ・原材料の輸出禁止という報復措置により、さらにコストが上昇する可能性がある。

    先週は押し目買い勢によって市場は上昇/h2

    先週金曜日の米国市場は、不安定な取引日が続きながら週を終えた。押し目買い勢が下支えする形で、ほとんどの主要株価指数が上昇した。

    S&P 500は0.51%上昇した。エネルギー・セクターは、変動する原油価格に追随し、金曜日に2.19%上昇し、アウトパフォームした。この日2番目にパフォーマンスが良かったのは公益セクターで、+1.45%となった。ロシア・ウクライナ危機が始まって以来、このディフェンシブ・セクターは優れたリターンをあげている。残りの景気敏感セクターは、エネルギーよりもリターンが1%以上低位だ。テクノロジー・セクターと一般消費財セクターは、金曜日に下落した数少ないセクターとなった。

    先週の取引最終日、ダウ工業株30種平均は0.44%上昇した。逆に、NASDAQ 100とRussell 2000はそれぞれ0.1%弱下落して引けている。この2つの指数は、コロナ禍の第一波の後、景気サイクルとは逆行していたがの反対側にあったがが、FRBがタカ派に転じてからは、概して連動した動きをしている。

    今週、S&P 500種指数は1.79%上昇し、主にエネルギー・セクターが+6.59%と市場全体の上昇を牽引した。素材セクターは、コモディティ価格の上昇を反映して3.7%上昇している。週次ベースでは、ヘルスケアと不動産の2セクターだけがマイナスで、それぞれ-0.52%と-0.21%であった。