Andy Hecht | 2022年04月05日 20:29
当記事はInvesting.comの独占記事
半導体の不足
ロシアのウクライナ侵攻は、中国、台湾にも影響
台湾半導体:大手半導体メーカー
制裁が果たす警告としての役割
Intelなど半導体メーカーは、対応を迫られる
半導体製造用の材料は、銅のような金属導体と、ガラスのような絶縁体の中間の電気伝導度を有している。電気抵抗は温度が上がると低下し、金属とは逆の反応を示す。
コンピューターや電波を使うものはすべて半導体に依存している。半導体はコンピューター・チップ、ダイオード、トランジスタ、集積回路など、電子機器に必要な部品である。この半導体によって、コンピューター、スマートフォン、家電製品、ゲーム機、医療機器などが動いている。また自動車においても、センサー、安全機能、電力管理、ディスプレイ、車両制御など、重要な部品にこれらの半導体が必ず使われている。
半導体の原料は、高温で安定し、自然界に多く存在するシリコンが最も一般的である。つまり、半導体は一般消費者や企業が使用するさまざまな製品に不可欠なコモディティなのだ。
世界的なパンデミックにより、サプライ・チェーンが混乱し、半導体不足が様々な分野で問題化した。半導体価格は上昇し、電子機器のコストを押し上げた。Apple (NASDAQ:AAPL)、Samsung (OTC:SSNLF)などの大手企業が早期に半導体の備蓄を始めた一方で、多くの自動車メーカーが生産の遅れに直面した。半導体不足により、2021年にはTSMは世界の半導体市場の51%を占めている ため、台湾は世界で最も多くの半導体を生産している国といえる。
ウクライナ戦争で農地が戦場となり、世界の食糧供給が危ぶまれている。ロシアへの制裁措置により、欧州などのエネルギー不足が懸念される。
中国政府が台湾への侵攻を決定した場合、半導体の生産は減速、あるいは停止する可能性が高い。経済制裁が課される場合には、コロナ禍のときよりもより深刻な半導体不足に陥るかもしれない。
また米中関係の悪化により、半導体輸出が禁止され、価格が高騰し、さらに供給が制限される可能性も想定される。
NVIDIA (NASDAQ:NVDA)やIntel (NASDAQ:INTC)を含む米国の半導体企業は、地政学的リスクによる将来の不足を回避するために、半導体生産を増やす必要がある。
出所:Barchart
2021年末以降、TSMの株価は12月31日の120.31ドルから4月4日の終値104.79ドルまで下落し、下落率は約13%となっている。
出所:Barchart
同時に、NVDAの株価は294.11ドルから7%下落し、4月4日の終値は273.60ドルだった。
出所:Barchart
INTCの株価は12月31日の51.50ドルから4.5%下落し、4月4日の終値は49.20ドルだった。
TSMは2021年末以降、競合する半導体メーカーをアンダーパフォームしている。台湾の地政学的混乱の可能性が、株価の重しになっているようだ。
半導体市場の供給リスクが高まっているため、米国の半導体メーカーや世界の同業他社は増産を余儀なくされる可能性がある。
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