今週のトピック:銀行の四半期決算発表、市場ボラティリティを高める景気サイクルのローテーション

 | 2022年04月10日 20:53

  • FRBは引き続きタカ派なスタンスを継続

  • 金利は3年来の高位な水準まで上昇

  • 投資家は株から債券へ、グロース株からバリュー株へシフト

  • 株式が景気サイクルに応じたローテーションによって上げ下げする中、新旧様々な悪材料によって、今週は大きな変動が予想される。FRBの政策決定とインフレ・データにより、引き続き金融引き締めを予想すべきかどうかが決まる。

    また、世界の大手銀行が最新の決算発表を控え、一部の国際金融機関が成長を維持するために事業戦略を変更しなければならない理由を明らかにする可能性がある。

    景気サイクルのローテーション:第2波へと転換中/h2

    2020年のコロナ禍第一波の後、景気敏感セクターはアウトパフォームした。パンデミック中、テクノロジーと通信サービスの中でも、ロックダウン中でも買い物やコミュニケーション、在宅勤務を可能にする、新しい日常を実現する企業の株に投資資金が集まった。その一方で、パンデミック前の旧態依然とした生活に関連する企業の株は売られ、株価は低迷した。

    そこに転機が訪れた。これまでグロース株で儲けてきた投資家たちが、突然、衣食住や公共事業、運輸などの「一般的な」事業を営む企業に再び注目し始めた。これらの見過ごされていた銘柄が、突然、価値を提供する掘り出し物として認識されたのである。

    そのため、市場のローテーションはエネルギー、金融、産業、素材などのセクターに転じた。現在、金融引き締めが引き金となり、金利が上昇し、ハイテク企業の高位なバリュエーションを正当化することが難しくなったため、投資家はハイテク株や小型株から手を引いている。米国内の中小企業は、高金利環境で成功するために必要なリソースと柔軟性を有していない。

    では、何が残っているのか?ハイテク系ではない大企業である。

    先週金曜日の市場の動きは、この状況を物語っている。投資家は、グロース株からバリュー株やディフェンシブ株へとシフトしている。ハイテク株の多いNASDAQ 100は1.41%下落し、他の主要株価指数をアンダーパフォームしたが、小型株のRussell 2000も0.76%下落し、あとに続いた。週明け最終取引をプラスで終えた指数は、30銘柄の優良企業株で構成されるダウ工業株30種平均のみで、0.4%上昇した。S&P500指数は0.27%の低下に留まり、2番目に良いパフォーマンスとなった。

    週次でみても、Russell 2000は4.62%下落し、NASDAQ100も3.59%下落している。ダウ平均は0.27%の下落に留まり、S&P500の1.27%の下落がそれに続く。

    同じパターンがSPXのセクター内でもみられる。過去1年のリターンにおいてテクノロジー株は景気敏感セクターに対して劣後している。

    先週金曜日、テクノロジー・セクターは1.4%下落し、全セクターで最低のパフォーマンスとなった。エネルギーは2.75%上昇し、全体をアウトパフォーム、金融も+1.01%上昇した。

    週次ベースでは、「テクノロジー」が3.82%値下がりした。投資家が安全なセクターであるヘルスケアに殺到し、3.45%上昇した。エネルギー株は3.21%上昇と2番目に良いパフォーマンスを記録した。

    月次でみると、ヘルスケアは11.98%上昇、次いで素材セクターが+10.92%となり、テクノロジーおよび通信サービスがそれぞれ約6%上昇したのに対してほぼ倍のパフォーマンスをつけた。

    過去1年ベースでは、通信サービスが11.52%の下落と唯一のマイナス・パフォームのセクターとなり、同時にエネルギー株が+63.95%増と全体を大きくリードしている。

    もう一つの、おそらくより明白な事実として、NASDAQ100とRussell 2000の両方が、資産またはインデックスが前回の高値から少なくとも20%下落したことを意味する悲しい名誉である「弱気相場」に入っている唯一の米国主要平均株価であることだ。

    Russell 2000は、11月8日の高値から1月27日の安値までの間に20.93%下落した。NASDAQ100は11月19日の高値から3月14日の安値までの間に21.28%下落している。

    一方、S&P500は1月3日の過去最高値から3月8日の安値まで13.95%の下落に留まり、優良企業株で構成されるダウは1月4日の過去最高値から3月8日の安値まで11.33%の低下に留まる。

    加えてRussell 2000は米国の他の主要株価指数に比べ、テクニカル的に悪い状態にあるようにみえる。