金利上昇は、広範な弱気心理を引き起こす株式市場のリスクの一つに過ぎない

 | 2022年06月21日 21:03

  • 5月の消費者物価指数(CPI)は強く、PPIはあまり改善されず

  • FRBは利上げを行ったが、インフレ対応には依然として出遅れ

  • 株価は急落しなかったものの、下落傾向

  • VIXは急騰することなく上昇を継続

  • 金利上昇は弱気センチメントを説明する問題のごく一部に過ぎない

  • 2022年の株式市場は荒れ模様で、NASDAQ総合、S&P500、ダウ工業株30種平均は年初来から大幅な下落を記録している。

    低金利が続き、インフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を下回った後、消費者物価やその他の物価が高騰している。FRBと米国財務省は、2021年の大半を通じてインフレ率の上昇を「一過性の」現象と呼び、パンデミックに端を発するサプライ・チェーンの混乱が物価上昇の原因であるとしていた。政策立案者は今、自分たちの誤りを認めたが、FRBと政府高官はインフレの責任を取ってはいない。

    2020年、人為的な低金利と量的緩和により、投資マネーが市場になだれ込んだ。パンデミック時の連邦政府による景気刺激政策は前代未聞のものだった。必要ではあったが、この政策は行き当たりばったりで、あまりにも長期化し、インフレの種を植え付け、2020年後半に芽生え、2021年に開花し、2022年には野火のように広がった。

    CPIとPPIの上昇と債券市場の下落が警告のシグナルを発した。第二次世界大戦以来の欧州での大規模な戦争と核保有国間の分裂は、インフレ圧力を悪化させている。

    低金利の間は株価が上昇したが、今や市場は金利がインフレ率の上昇を追いかけるという問題に直面している。資本は株式市場から債券市場に流れており、2022年6月の株式市場の見通しは悪化している。

    5月の消費者物価指数(CPI)は強く、PPIはあまり改善されず/h2

    5月の米国消費者物価指数は、1981年12月以来の高い数値となり、高止まりし続けている。CPIは前年比8.6%、コアCCPIングは6%それぞれ上昇して。いずれも市場の予想を上回った。生産者物価指数(PPI)は10.8%上昇し、2桁の上昇を続けている。

    食品、天然ガス、エネルギー価格の高騰がインフレを下支えし、それがコアCPIに反映され、すべての商品とサービスの価格に影響を及ぼしている。インフレ率の上昇は、世界の中央銀行に行動を促すものであった。欧州中央銀行(ECB)は最近、金利をマイナス領域から引き上げると発表したが、インフレによりユーロの価値が低下するため、実質金利はゼロ以下にとどまり続けるだろう。ECBより先に利上げと金融引き締めを開始した米国も同様だ。

    FRBは利上げを行ったが、インフレ対応には依然として出遅れ/h2

    6月15日(水)、FRBは政策金利を75bps(0.75%)引き上げ、1.50%~1.75%にした。FRBは1994年以来、75bpsの利上げは行ってことなかった。FRBは、食品とエネルギー価格の変動が激しいため、コアCPIの測定値を最も信頼できるインフレ・データと考えている。コアCPIが6%の場合、政策金利の下限はFRBが好むインフレ指標の4分の1になる。

    ウクライナ戦争によって食糧とエネルギー価格が大幅に上昇し、これらの市場の性質が変化したため、現在の環境ではコア指標は蜃気楼になる可能性がある。戦争は経済にとって供給問題を引き起こす。中央銀行のツールは需要サイドの経済力学に有効である傾向が強い。

    要するに、1.50%~1.75%の政策金利では、中央銀行はインフレから大きく遅れており、経済状態を悪化させるだけである、ということだ。

    株価は急落しなかったものの、下落傾向/h2

    2022年に主要株価指数は、高値を更新し、その後安値を更新してきた。6月中旬から下押し圧力が強まっている。