USDにとってはまちまちな日で、対USDでは、EURとJPYが若干上昇し、コモディティー通貨とCHFは下落した。最大の下げ幅となったのはGBPであり、最大の上げ幅となったのはスキャンディナビア諸国通貨---SEKとNOK---であった。市場の主な材料は、タカ派として知られるFOMCのメンバーであるブラルド氏と、ハト派として知られるダドリー氏による発言であった。いずれもハト派的であったが、ブラルド氏が、デフレのリスクを指摘し、ECBに量的緩和を迫る一方で、ダドリー氏は、FRBが量的緩和を強化させるか後退させるかは調節可能だとした。FOMCが5月の会議議事録を発表し、FRBのバーナンキ議長が議会で米国経済について証言することから、今日の焦点も引き続きFRBの政策になるだろう。昨日、予想が修正されたことから、私は、リスクは非対称的であると考える。「量的緩和の後退」が近いとする予想は減少しているため、さらにハト派的なコメント(バーナンキ議長から発せられる可能性が高い)が出ても、それほど大きな影響力にはならないだろうが、政策の変更が真剣に議論されているという兆候が議事録に見られれば、市場を大きく動かす可能性もある。
英国では、4月のインフレ率が予想を大幅に下回ったため(前月比で予想の+0.4%に対し+0.2%、前年比で予想の+2.6%に対し+2.4%)、GBPは下落した。インフレ率の低下により、イングランド銀行は、選択によっては、利下げ余地が拡大するが、最近、成長率が予想を上回り、景気見通しが改善しているということは、利下げ圧力が低下していることを意味する。それでもGBPが下落したのは、おそらく本日発表されるイングランド銀行の5月の議事録に対する予想によるものだろう。先月、GBPは、議会が、一層の緩和に対して、引き続き6対3で意見が分かれたことを受けて下落した。今月も同率で意見が分かれる可能性が高いとみられることから、同様の反応が生じる可能性がある。
本日発表されるその他のデータには、EUの3月の経常収支が含まれ、経常黒字は、163億ユーロから150億ユーロへと縮小することが予想される。この数値が市場を動かすことは異例である。最近、期待外れの住宅データが散見されるため、米国の4月の中古住宅販売は、いつもより注目される可能性がある。予想は、3月の前月比-0.6%、年換算492万件から改善して、前月比+1.4%、年換算499万件である。同月の住宅着工件数の予想外の減少にも拘わらず、これらの予想は、直近の数日間で引き上げられたものである点には留意する必要がある。予想をしている者たちはかなり自信があるのだろう。FOMC議事録が発表される予定の4時間前のこうした数字によって、センチメントは、好調な米国経済/力強いUSDへと回帰する可能性がある。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、1.2900のレジスタンスを突破した後、上昇し、その反発は継続した。次の強力なレジスタンスは、23.6%フィボナッチ・リトレースメントであり、50日移動平均でもある1.2980に現れ、その次は1.3030に現れるだろう。1.2900近くの領域は、サポートとして機能するとみられ、1.2855が引き続きロワー・トレンドライン・サポートとなるだろう。
USD/JPY
• 昨日、USD/JPYは若干上昇したが、昨晩から水準は変わらず、102.90でレジスタンスを見出した。レジスタンスは102.90-103.00領域にあるが、103.30を突破すれば、同ペアは、104.00まで重要なレジスタンスが現われることはないだろう。十分に試されたサポートは、依然として101.95にあり、次のサポートは101.35に現れるだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは、1.5200水準を突破した後、低下し続けたが、ボトム・ボリンジャー水準でサポートを見出した。同ペアは、本日低下する可能性が高く、サポートは、心理的水準であり、ボトム・ボリンジャー水準でもある1.5100で見出され、これを突破すれば1.5040まで推移するだろう。その後、強力なレジスタンスが1.5270に現れるだろう。
金
• 昨日の金の反発は、再び1400ドルでレジスタンスを見出し、結局その日は下げて引けた。レジスタンスは引き続き1400ドルにあり、これを突破すれば、1423ドル~1431ドル領域へと向かうだろう。サポートは、従来の安値である1350ドルと1340ドルにあり、ストキャスティクスは依然として強気である。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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