SNBショック、ユーロ相場を直撃

 | 2015年01月16日 09:41

<Market Overview① -予想外の行動に踏み切ったSNB>

15日の海外外為市場の主役は、スイスの通貨フランだった。スイス中銀(SNB)は予想外にスイスフラン上限の撤廃を発表。合わせて中銀預金金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%へ引き下げることも決定した。これを受け、世界的にスイスフラン買い/ユーロ売りの展開に。EUR/CHF(ユーロ/スイスフラン)は1.20前後から0.85レベルまで急落。一方、ユーロは対ドルで重要サポートポイント1.1640レベルを一気に下方ブレイクし1.1568レベルまで、対円では134.99レベルまでユーロ安が進行した。

SNBが予想外の行動に踏み切った背景には、これ以上EUR/CHFの下限を死守することが困難になったと判断したためだろう。主な理由はコスト(一部では日額で20億フラン相当との試算も)と欧州中央銀行(ECB)による緩和強化観測の高まりだろう。特に意識されたのは後者と考えられるため、今回のSNBの行動は、来週22日(木)のECB理事会でドラギ総裁が緩和強化に踏み切る可能性が急速に高まっているとのシグナルをマーケットに発信したことと同義だろう。事実、昨日はスイスフラン買い/ユーロ売りと同時に主要な欧州株式市場は軒並み上値トライの展開となった。

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<Market Overview② -今後の展開>
では今後、外為市場の動向はどうなるのか?結論から言うならば、ユーロ安がさらに進行しよう。経常黒字の常態化、貿易収支の改善に加え、スイス経済省経済事務局(SECO)は2015年の輸出増も見込む等、意外にもスイス経済は好調さを維持している。さらに今回のSNBの行動はデフレリスクを取る姿勢を示したものでもあり、ユーロスイスは中長期で下値を模索する状況が継続しよう。

ユーロ円は、1月中は下値を模索する展開となろう。ECBの緩和強化期待を背景に欧州株式は総じて堅調に推移したものの、米株は調整相場が継続している。14日のレポートでも指摘した通り米株は過去2年間、調整相場へ入った場合は長くて1か月前後継続するパターンが見られる。1月中の米株反転に期待が持てない以上、ユーロ円は3つのユーロ売り圧力(ECBの緩和強化、ギリシャリスク、ユーロスイス経由でのユーロ売り圧力)に加えて、円買い圧力(米株の調整)を背景に、次の重要サポートポイント134.14(2014年10月16日安値)を視野に入れる展開を想定している。

最後にユーロドルだが、ECB理事会後やギリシャ新内閣発足後にショートカバーが入る展開が想定される。だが、米欧の金融政策のコントラスト(方向性の違い)を背景に、ユーロスイス同様、中長期で下落トレンドを辿る可能性が高い。目先の注目ポイントは1.15台の維持。このレベルを下方ブレイクした場合は、2003年9月下旬から11月上旬にかけてユーロをサポートした1.1370レベルが次の焦点として浮上しよう。

< テクニカル分析-ユーロ円、134.14が視野に>

レジスタンス
136.90:オファー
136.50:オファー
136.00:レジスタンスポイント

サポート   
134.70:本日早朝安値 、厚いビッド
134.14:2014年10月16日安値
134.00:サポートポイント、厚いビッド&オプションバリア

134円台の攻防へシフトする可能性を常に意識したい。焦点は134.14での攻防だろう。全戻しとなれば、さらに下値を模索する展開となろう。尚、直近のオーダー状況だが、134.50にはビッド、下の水準にはストップの観測がある。134.00には厚いビット&オプションバリアの観測あり。割り込んだ水準ではストップが置かれている。