ドルインデックス、レンジ上方ブレイクが明確化

 | 2015年03月03日 09:39

【マーケットコメント -ドルインデックス、レンジ上方ブレイクが明確化】

2日の米国株式市場でダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は過去最高値を更新。ナスダック総合指数も終値ベースで15年ぶりに5000を上回る展開となった。株高に加え、1月の米個人消費支出(PCE)がインフレ調整後の実質ベース(コアPCEデフレーター)で前月比+0.1%と堅調な伸びを見せたこともあり、米金利は各ゾーンで上昇。
「米株高+金利上昇」に加え、欧州中央銀行(ECB)の緩和強化を背景にユーロ売りが継続したこともあり、外為市場ではドル買い優勢の展開となった。EUR/USDは1.1160レベルと先月26日以来の水準までユーロ安/ドル高が進行。USD/JPYは節目の120.00を突破すると高値120.19を付けた。一方、クロス円もUSD/JPYの上昇や米株高がけん引役となり、NY時間に円売り圧力が強まる局面が見られた。ただ、ドルストレートでのドル高もあり上値は限定的。USD/JPYこそ120円台を維持したものの、ユーロ円は134.30台、豪準備銀行(RBA)による利下げ観測が意識されている豪ドル円は93.20台でそれぞれ上値の重い状況が続いたまま、本日の東京時間を迎えている。

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ドルインデックス(DXY)は、ボックスレンジの上限である95.00を完全に上方ブレイクしてきた。2月米雇用統計の結果次第ではこのブレイクが「だまし」となる可能性があるものの、米ドルだけでなく米金利までがCPIコアやPCEコアデフレーターの結果に敏感に反応している点を鑑みるに、市場関係者は再び6月利上げの可能性を意識し始めていることがうかがえる。
また、昨日の動向で注視すべきは米株の動向だろう。CPIコアが発表されて以降、軟調な地合いが継続していた米株が上値トライとなった点は興味深い。PCEコアデフレーターの結果を受け続落していれば、それは6月利上げ懸念の台頭を意味し、グローバル株式市場でリスク回避ムードを強める可能性があった。しかし実際は、ダウ平均とS&P500が最高値更新となる等、リスク選好ムードはむしろ強まっている。昨年以降、米株が調整に入るタイミングを確認すると、米企業決算シーズンに絡んでいることがわかる。次の決算シーズンが4月であることを考えるならば、3月はこのまま株高が継続する可能性が高い。
リスクイベントは米連邦公開市場委員会(FOMC)だが、すでにイエレン議長が議会証言で地ならし発言をしていることもあり、米株が大きく崩れる可能性は低くなっている。

外為市場ではもう一度戦略を練り直す必要があろう。「株高オンリーのリスク選好」ならば、クロス円を中心とした円安&資源国通貨買い優勢の展開が想定された。しかし、6月利上げ観測の再台頭によりこのまま米金利が株高に追随していくならば、ドル円を中心とした円安&資源国通貨売りの展開を想定すべきだろう。また、ファンダメンタルズ面で脆弱な新興国通貨も対ドルで軟調に推移することが想定される。


【テクニカル分析コメント -ドルインデックス、レンジ上方ブレイクが明確化】
レジスタンス
1.1347:一目/基準線(赤ライン)
1.1332:21日MA(青ライン)
1.1280:オファー
1.1250:レジスタンスポイント

サポート   
1.1150:ビッド
1.1128:ボリンジャー下限(σ-2.5、緑ライン)
1.1114:1月26日安値
1.1100:ビッド、下にストップ

一目/基準線にレジストされレンジの下限(1.1200)及びボリンジャー下限(σ-2.0)をも下方ブレイクする展開に。
次の焦点はボリンジャー下限(σ-2.5)だが、ソーサー・トップの形状を鑑みるに、常に1.11ブレイクの可能性を意識しておくべきだろう。
ショートカバーの展開となっても、21日MAまでの戻りが限界か。
尚、直近のオーダー状況は上述の通り。1.11下にはストップの観測がある。