ドル高とリスク選好の共存関係は成り立たず

 | 2015年05月27日 09:55

【マーケットコメント】-ドル高とリスク選好の共存関係は成り立たず

25日のマーケットコメントで、ドル高の”再トレンド化”が今週の焦点と指摘したが、早くもそのムードが強まってきた。
ただ、注視すべきは、今回のドル高が“”リスク回避“のドル高となっている点だろう。昨日の米国株式は、良好な指標データが相次いだにもかかわらず株安で反応。その株安は米金利低下圧力を強めた。あらためて米利上げに対する米国マーケットのアレルギー反応が根深いことを再確認する一日となったが、意識しておくべきは、現在のマーケット環境ではリスク選好とドル高は共存できないという事実だろう。それは、昨日指摘した株高と米金利上昇の共存が困難であるということでもある(米国株式市場では早期利上げ「懸念」として意識されるため)。よって、短期的(9月前後まで)には「ドル高=リスク回避」の状況が散見されよう。
だが、日欧に加え中国も緩和レースに参戦してきたことを鑑みるに、イエレンFRBが利上げに向け超えるべきハードルの水準は低下している。これは米利上げショックが世界的な緩和レースで吸収されやすいことを意味する。よって、中長期スパンでは、「ドル高 / リスク選好」の共存関係が成り立つと想定している。

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【テクニカル分析コメント】-EUR/USD、焦点は一目/雲の維持
レジスタンス
1.1000:オファー、上にストップ
1.0980:5/26高値
1.0956:一目/雲の上限

サポート   
1.0882:リトレースメント61.80%
1.0863:5/26安値
1.0819:4/27安値
1.0800:ビッド
1.0744:リトレースメント76.40%
1.0735:一目/雲の下限

昨日は、直近高安のリトレースメント61.80%戻しでかろうじて下げ止まった。しかし、RSIやDMIの動向を鑑みるに、完全にユーロのショートカバートレンドは転換している。よって、本日もダウンサイドへ振れる展開に警戒したい。

上下のチャートポイントは上述の通りだが、より注視すべきは76.40%戻し及び一目/雲の下限をトライする展開となった場合だろう。これらテクニカルポイントの下方ブレイクは、鍋の底が抜けるようなものである。実際にそのような展開となれば、レンジの下限1.05を視野にユーロ安/ドル高が加速するシグナルとして捉えたい。

日足チャート